イスラム教最大の聖地であるサウジアラビア・メッカへの大巡礼(ハッジ)で、19日までに数百人が猛暑による熱中症などで死亡した。死者数について、AP通信は医療関係者などの情報として少なくとも600人にのぼると報じた。AFP通信は関係国の情報を総合した集計として約920人としている。メッカの気温は17日に51.8度を記録するなど、異常な暑さが続いている。

 サウジ当局は死者に関する情報を明らかにしていない。報道によると、最も多くの死者が出たのはエジプトからの巡礼者で、300人とも600人とも報じられている。ほかにインドネシアやヨルダン、イラン、セネガルの巡礼者が死亡したとみられる。インドネシア保健省は18日、約140人のインドネシア人が巡礼中に死亡したと発表したが、死因は明らかにしていない。安否不明の巡礼者も多数いる模様だという。

過去には群衆事故で720人が死亡

 今年のハッジは14~19日に行われ、世界中から約180万人の巡礼者が参加した。

 サウジ当局は巡礼者に対し、午前11時から午後3時までは暑さのため、屋外に出ないように呼びかけていたという。巡礼者は日差しから身を守るために傘を差して参加するなどしていた。

 ハッジはイスラム教徒が果たすべき五行(信仰告白、礼拝、喜捨、断食、巡礼)の一つで、財力や体力がある信徒は、一生に一度は巡礼することとされている。

 ハッジでは、2015年9月にメッカ郊外で巡礼者の群衆事故があり、約720人が死亡した。(村上友里)

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