UNCTADのグリンスパン事務局長(12日、ジュネーブ)=ロイター

【ジュネーブ=共同】国連貿易開発会議(UNCTAD)は20日、世界の海外直接投資額が2023年は前年比2%減の1兆3318億ドル(約210兆円)だったとする報告書を発表した。世界経済の減速や貿易摩擦、地政学的な緊張が要因で、24年も海外投資は厳しい状況が続くと予測した。

中国の対内直接投資は1632億ドルと前年から14%の大幅減だった。グリンスパン事務局長は声明で「投資は単なる資本移動ではなく、より公平で持続可能な世界の追求だ」と述べ、各国に海外投資の推進を訴えた。

日本は23年の対内直接投資が214億ドルと前年の341億ドルから40%近く落ち込んだ。順位も13位から19位に後退した。対外直接投資は22年の1621億ドルから23年は1840億ドルへ14%増え、規模では中国を抜いて米国に次ぐ2位となった。

報告書によると、23年は先進国への投資が9%増えたのに対し、途上国は7%減った。企業の合併・買収(M&A)やインフラへの投資が大きく減少し、デジタル化投資も一服した。一方で、国際分業に重きを置く自動車などの製造業では大幅に伸びた。サプライチェーン(供給網)の見直し圧力が背景にあると分析した。

UNCTADは1991年から毎年、世界や地域の投資動向を分析した「世界投資報告書」を発表している。

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