ロシアによる侵攻を受けるウクライナへの支援を続けるNATOでは、2014年から事務総長を務めているストルテンベルグ氏の任期がことし10月1日に終わるのを前に後任人事の調整を続けてきました。

後任にはオランダのルッテ首相とルーマニアのヨハニス大統領が名乗りをあげていましたが、ルーマニア大統領府は20日、ヨハニス大統領が立候補を取り下げたことを明らかにしました。

これを受けて、欧米のメディアはルッテ氏がすべての加盟国から支持を取り付け、次の事務総長に就くことが確実になったと伝えています。

ルッテ氏は早くからアメリカをはじめ多くの加盟国の支持を集めたものの、一部の国からは今月まで支持を得られていませんでした。

このうちハンガリーのオルバン首相はルッテ氏と17日に会談し、NATOによるウクライナ支援にハンガリーが要員や資金を出さないことで合意したなどとしてルッテ氏を支持する用意があるとSNSで表明しました。

ストルテンベルグ事務総長は18日、ルッテ氏について「首相としての経験が豊富で非常に有力な候補だと思う」と話していて、NATO加盟国は近く正式にルッテ氏を次の事務総長に決める見通しです。

ルッテ首相とは

オランダのルッテ首相はハーグ出身の57歳。2010年から首相を務め、ヨーロッパではもっとも在任期間が長い首相の1人です。

ルッテ首相のもと、オランダはウクライナへの支援を積極的に行ってきました。ドイツの研究機関「キール世界経済研究所」によりますと、ことし4月末の時点で、オランダによる軍事支援はアメリカ、ドイツなどに次いで5番目に多い金額で、ウクライナに対するF16戦闘機の供与もいち早く表明しました。

その背景のひとつにあるのが、10年前にウクライナ上空で旅客機が撃墜された事件です。旅客機はオランダ発で、オランダはもっとも多くの犠牲者を出しました。

ルッテ首相は去年9月に国連総会で行った演説で、旅客機はロシアに撃墜されたという見方を示した上で、「この日、オランダの国民と世界中の人たちは、平和や自由、正義は与えられるものではなく、絶え間ない努力を必要とするものだということを思い知らされた」などと述べました。

そのうえで、ロシアによるウクライナ侵攻を改めて強く非難し、ウクライナへの支援を国連加盟国に訴えるなど、ルッテ首相はウクライナを支持する姿勢を強く示してきました。

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