ワシントン・ポストでは、編集トップの内定者が辞退した=ロイター

【ニューヨーク=清水石珠実】米名門紙ワシントン・ポストの編集トップに指名されたロバート・ウィンネット氏が内定を辞退した。同紙が21日に社員向けに送った書簡で明らかになった。ウィンネット氏を巡っては、過去の取材活動で倫理に反する行為があった可能性を指摘する米報道が出ていた。

ワシントン・ポストでは2日に、初の女性編集トップだったサリー・バズビー氏が突如辞任。後任には、米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の編集局長を務めたマット・マレー氏が就任した。マレー氏の任期は2024年11月の米大統領選までとし、マレー氏の後をウィンネット氏が引き継ぐ計画だった。

ウィリアム・ルイス最高経営責任者(CEO)は社員向けの書簡のなかで、ウィンネット氏を「非常に才能がある編集者でジャーナリストだ」と評価し、内定辞退は「残念だ」とした。また、大統領選後に編集部を率いる編集トップ探しには「即時に着手する」と発表した。

ウィンネット氏は現在、英紙「デーリー・テレグラフ」などを発行するテレグラフ・メディア・グループ(TMG)で副編集長を務める。21日、TMGの編集トップ、クリス・エバンズ氏は社員向けの書簡で続投を発表し、「(ウィンネット氏が)我々のところに残るという決断をくだしたことをよろこんで報告する」と記した。

ワシントン・ポスト(電子版)は16日、英新聞社のスクープのために機密情報などを違法行為で繰り返し入手していたと告発した人物が、過去にウィンネット氏のために働いていたと告白したと指摘する記事を掲載した。こうした報道を受けて、同紙の編集部内ではウィンネット氏の編集トップ就任に反対する意見が強まっていた。

英国出身のルイス氏が英新聞社でかつての部下だったウィンネット氏を編集トップに指名した人事に対しても「身内優遇」との批判が出ていた。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。