26日、国連人権理事会の会合で流された、旧ジャニーズ性加害問題の被害者の1人、二本樹顕理氏のビデオ声明(スイス・ジュネーブ)=共同

【ジュネーブ=共同】国連人権理事会(47カ国)は26日、旧ジャニーズ事務所(SMILE-UP.、スマイルアップ)の性加害問題などに関する調査報告書の提示を含む会合を開いた。会合では被害者の1人の二本樹顕理氏がビデオ声明で、日本政府や企業に「性加害が繰り返されないための措置を取ってほしい」と訴えた。

報告書をまとめた作業部会は、性加害問題は被害者救済が進んでいると一定の評価を示した一方、ジェンダー問題などで「日本には人権に関する構造的な課題がある」と指摘した。

日本の尾池厚之ジュネーブ国際機関政府代表部大使は「報告書が挙げた点全てには同意しないが、人権とビジネスに関する対策を検討したい」と述べた。

報告書は、専門家で構成するビジネスと人権に関する作業部会が5月28日に公表。旧事務所の創業者ジャニー喜多川氏(2019年死去)による性加害問題について、被害者救済に向けた「道のりは長い」とし「依然として深い憂慮が残る」と指摘した。

作業部会は昨年7〜8月に日本を訪問。東京電力福島第1原発事故後の除染での下請け作業員や北海道のアイヌ民族、外国人技能実習生らの人権状況も調査した。

報告書は原発作業員の劣悪な労働環境や多重下請け構造、アイヌ民族の団体のサケ漁制限などに触れ、是正措置を取るよう勧告している。

日本側は原発事故を含む一部の報告内容について「事実に不正確な点があり、一方的な主張だ」などと意見書で反論していた。一方、性加害問題には意見を付けなかった。

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