【北京=河北彬光】中国江蘇省蘇州で日本人学校のスクールバスを待っていた日本人母子ら3人が男に刃物で切り付けられた事件で、地元の公安局は27日、男を止めようとして刺されたバス案内係の中国人女性が死亡したと発表した。在中国日本大使館は他の子どもへの被害拡大を防いだ女性に哀悼の意を示し、大使館に半旗を掲揚した。

◆「勇気ある行動に深い敬意」と金杉憲治大使

28日、北京の日本大使館で、胡友平さんの訃報を受けて掲げられた半旗=石井宏樹撮影

 公安局によると、女性は胡友平(こゆうへい)さん(54)で、26日に亡くなった。胡さんは24日午後4時ごろ、バス停で刃物を持った男が母子を切りつけ、バスに乗り込もうとするのに気付いて阻止した際に刺された。車内には複数の日本人学校の子どもがいた。  金杉憲治大使は28日、報道陣に「胡さんの勇気ある行動に深い敬意を表する」と話した。中国共産党系の環球時報(電子版)は、日本のネット上で重体となった胡さんの安否を案じる声が多数あったことに触れ「中日の民間交流の真実の感情だ」との社説を掲載した。中国の交流サイト(SNS)にも胡さんの行動をたたえる投稿が相次いだ。  負傷した母子に命の別条はない。中国当局は、容疑者の中国人の無職男(52)が日本人を狙ったものではなく「偶発的」だったとの見方を示している。 

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