【NQNニューヨーク=戸部実華】28日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反落し、前日比45ドル20セント安の3万9118ドル86セント(速報値)で終えた。前日夕に決算を発表したナイキが急落し、指数を押し下げた。月末と四半期末が重なり、持ち高調整の売りも重荷となった。もっとも、5月の米個人消費支出(PCE)物価指数や消費者の景況感の改善を示す指標を受け、ダウ平均は上昇する場面もあった。
ナイキは一時2割ほど下げた。前日発表の2024年3〜5月期決算で売上高が市場予想を下回ったうえ、25年5月期通期は減収となる見通しを示した。アナリストによる投資判断や目標株価の引き下げもあり、売りがかさんだ。
28日は今月最後の取引日となり、機関投資家のリバランス(資産配分の調整)に伴う売りが出たとの見方があった。中小型株で構成される株価指数「ラッセル2000」などの年に1回の銘柄入れ替えにあわせ、持ち高を調整する目的の売買が膨らんだとの指摘もあった。朝方は低下していた米長期金利が一時4.36%と前日終値(4.28%)を上回ったことも、株式の相対的な割高感につながった。
午前にダウ平均は280ドル近く上昇する場面があった。5月のPCE物価指数は前月比横ばいと、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想と同じだった。4月は0.3%上昇していた。エネルギーと食品を除くコア指数も0.1%上昇と市場予想通りだった。コア指数の前年同月比の上昇率は2.6%と市場予想と一致し、伸びは4月(2.8%)から鈍化。米連邦準備理事会(FRB)が利下げに動きやすくなるとの見方が広がった。
ミシガン大学が28日午前に発表した6月の消費者態度指数(確報値)は68.2と、速報値(65.6)から上方修正され、市場予想(66.0)も上回った。併せて公表された1年先の予想インフレ率は3.0%と、前月と速報値(ともに3.3%)から低下し、インフレ懸念の後退につながった。景気減速への懸念も和らぎ、景気敏感株や消費関連株を中心に買いを支えた面もあった。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は4日ぶりに反落し、前日比126.081ポイント安の1万7732.603(速報値)で終えた。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。