【ワシントン=鈴木龍司】11月の米大統領選に向けた6月末のテレビ討論会で精彩を欠き、与党・民主党内で候補差し替えの圧力にさらされているバイデン大統領(81)が5日、ABCテレビのインタビューに応じ、「私以上の適任者はいない」と改めて撤退を否定した。米メディアによると、下院議員に続き、上院議員にも撤退を求める動きが出始め、バイデン降ろしの気配が収まる様子はない。

◆討論会での不調は「ひどい風邪をひいていた」から

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、今回のインタビューは高齢不安を払拭するために、バイデン陣営がABCテレビに提案した。バイデン氏は討論会の不調の理由を「ひどい風邪をひいていた」「マイクがオフになっても、トランプ氏が叫んでいて、気を取られた」などと釈明。大統領として次の4年間、精神的、身体的能力はあるかと問われると、「そう信じている。そう思わなければ出馬しない」と強気の姿勢を示した。

バイデン大統領(2020年2月撮影)

 一方、討論会の映像を確認したかについて「見ていないと思う」と述べるなど、曖昧な受け答えもあった。認知機能の検査を受ける意思を問われると「誰にもやれとは言われていない。大統領の職務を続けていることで、毎日、テストを受けているようなものだ」と否定した。  バイデン氏は同日、激戦州のウィスコンシン州の集会でも支持者を前に演説。「私は40歳に見える」と冗談を交え、「はっきり言おう。私は選挙に残り、トランプ氏を倒す」と強調した。

◆「バイデン降ろし」に傾く有力議員も

 テレビでのバイデン氏の主張に対し、ワシントン・ポスト紙は「多くの民主党下院議員は心を動かされなかった」と指摘。さらに、上院で影響力を持つ民主党のウォーナー議員が、バイデン氏に撤退を要求するグループの結成に動いていることを報じた。  討論会後のウォールストリート・ジャーナル紙の世論調査では、トランプ前大統領(78)がリードを2ポイントから6ポイント差に広げ、約8割がバイデン氏の年齢に懸念を示した。 

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