国連安保理は18日、パレスチナの国連加盟に関する決議を否決した(18日、ニューヨークの国連本部)

【ニューヨーク=佐藤璃子】国連安全保障理事会は18日、パレスチナの正式加盟を国連総会に勧告する決議案を否決した。常任理事国でイスラエルの後ろ盾となっている米国が拒否権を行使した。

決議案はアラブ諸国を代表してアルジェリアが提出した。採決では日本や韓国、フランスなど12カ国が賛成した。英国とスイスは棄権した。

米国のウッド国連次席大使は否決後「このような国連における行動は時期尚早であり、国家樹立を達成するものではない」と拒否権行使の理由を説明した。「(国家樹立は)当事者間の直接交渉によって行われるべきだと考えている」として、イスラエルの合意なき正式加盟を認めない立場を示した。

安保理筋によると、米国は国内法でパレスチナを国連加盟国として受け入れると、国連機関への資金拠出を停止しなければいけない。加盟反対は国連の影響力を維持する狙いもあるとされる。

今回の安保理決議の否決を受けて、国連総会は近日中に米国による拒否権の是非を問う会合を開く。シンクタンク「国際危機グループ」のリチャード・ガウエン氏は「(実際の加盟には至らなくても)パレスチナ側は、自分たちが国連で多数派の支持を得ていることを示し、道徳的な勝利だとアピールする可能性がある。より多くの国が二国間で外交的承認を与えてくれることを期待しているだろう」と指摘する。

パレスチナは11年にも国連への正式加盟を申請している。米国が拒否権行使を示唆したこともあり、加盟の手続きを棚上げした。代わりに、12年に「オブザーバー組織」から「オブザーバー国家」へ格上げしている。オブザーバー国家は総会などでの投票権はなく象徴的な立場にとどまる。

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