【NQNニューヨーク=川上純平】8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前週末比31ドル08セント(0.07%)安の3万9344ドル79セントで終えた。週内にはパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言機会や物価指標の発表があり、持ち高調整の売りが優勢だった。半面、米株相場の上昇に対して出遅れ感のある銘柄への買いが目立ち、指数を下支えした。

FRBのパウエル議長が9〜10日に上下両院で議会証言に臨むほか、11日には6月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。市場では「物価指標がインフレの高止まりを示せば株高の継続に問題が生じる」(ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)との指摘がある。一連の重要日程の内容を見極めようと、多くの投資家が慎重姿勢を強めた。

もっとも、ダウ平均は上昇する場面があった。インテルが6%高となり、投資家心理を下支えした。アナリストが今後の出遅れ修正が期待できる人工知能(AI)関連銘柄としてインテルを挙げたことが材料視された。ホーム・デポやダウにも出遅れ感に着目した買いが入った。

前週末発表の6月の米雇用統計は労働需給の緩和を示した。賃金インフレが落ち着き、FRBが利下げに転じやすくなるとの見方が根強いのも支えとなった。

そのほかの個別ではナイキやセールスフォース、ビザが下落した。マクドナルドやシスコシステムズにも売りが出た。半面、トラベラーズやIBM、プロクター・アンド・ギャンブルは上昇した。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は5日続伸した。前週末比50.979ポイント(0.27%)高の1万8403.738で終え、連日で最高値を更新した。エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)といった半導体関連の上昇が目立った。

多くの機関投資家が運用指標にするS&P500種株価指数は前週末比5.66ポイント(0.10%)高の5572.85と連日で最高値を更新した。主力株の一部には利益確定売りが出やすく、指数の上値は重かった。

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