【キーウ共同】ロシア軍のミサイル攻撃で病棟が大破したウクライナ首都キーウ(キエフ)の小児病院は同国最大規模の専門病院で、難病を抱えた子どもたちの治療に当たってきた。「この子はがんです。これからどうすればいいのか」。2歳の幼子を抱いた父親は9日、崩れ落ちた病棟近くで途方に暮れていた。  IT関連業オレクサンドルさん(22)とマリアさん(23)が、血液がんを患う長男ルドビクちゃん(2)を抱いて病棟玄関に立ちすくんでいた。抗がん剤の影響でルドビクちゃんの髪の毛はない。キーウ州の自宅からほぼ毎日通院しているが、たまたま8日は治療がなく難を逃れた。  9日は担当医に治療方針を確認するため来院。通い慣れた病棟はほぼ全ての窓ガラスが割れ、治療室の天井ははがれ落ち、多くの医療器具が大破。担当の女性医師も頭を負傷した。夫妻は惨状にぼうぜんとしていた。  麻酔科のオレクサンドル・ビソツキー医師(36)は「病院を再建できるかどうかは分からない。ただ私の仕事は命を救うこと。仕事を続けるだけだ」と淡々と語った。


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