ロシアのプーチン大統領とインドのモディ首相は9日、ロシアの首都モスクワで首脳会談を開き、外交や安全保障、経済連携について協議した。ロシアが続けるウクライナ侵略をめぐりモディ氏はプーチン氏に対話での解決を求めた。
会談冒頭を国営テレビが中継した。プーチン氏は「両国の間には長期間の友好関係があり、特別かつ特権的な戦略的パートナーシップの性格を持っている」と述べた。
グローバルサウスと呼ばれる新興国で存在感を増すインドと安全保障や経済面の協力を拡大し、欧米への対抗軸を形成する考えだ。
モディ氏はプーチン氏に対し、ウクライナの平和を確立するために「インドはあらゆる協力の用意がある」と表明した。対立の解決には「対話が必要だ」とも強調した。プーチン氏はモディ氏が「平和的手段で解決する方法を模索している」などと語り、謝意を示した。
モディ氏の訪ロは約5年ぶり。2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵略以降で初めてとなる。モディ氏は8日、プーチン氏とモスクワ郊外の大統領公邸で非公式に会談した。
インドとロシアは軍事面で協力関係にある。ロシアがインドにミサイルなどを供給するほか、兵器の共同開発にも取り組んでいる。ロシアはウクライナ侵略による欧米諸国からの対ロ制裁を受けて、自国産原油の輸出先を制裁に加わらない中国やインドにシフトしてきた。
ロシア財務省は9日、税収の柱である石油・ガス収入が24年1〜6月に前年同期比69%増だったと発表した。米国は制裁を強めているものの、足元では割安なロシア産原油の販売がロシアの歳入を支えている。
ウクライナ侵略をめぐってモディ氏は22年9月、プーチン氏との首脳会談で「今は戦争のときではない」と懸念を表明していた。
モディ氏は9日、「人が死ぬこと、特に罪のない子供たちが死ぬことに痛みを感じる」と発言し、戦争による犠牲者の拡大に懸念を示した。ウクライナでは8日、キーウにある国内最大の小児病院がロシアから攻撃を受けた。
5月に通算5期目に入ったプーチン氏は外交攻勢に出ている。5月には中国を訪問し、習近平(シー・ジンピン)国家主席と首脳会談を開いた。6月には北朝鮮を訪れ、金正恩(キム・ジョンウン)総書記と会談し、軍事協力を深める条約を結んだ。
プーチン氏はロシアや中国、インドといった有力新興国が加盟するBRICSの枠組みなどを活用して、グローバルサウスとの団結を強めようとしている。
ロシアは24年にBRICSの議長国を務める。10月にロシア中部カザンで開催する首脳会議には習氏らに出席を呼びかけるほか、イランやエジプトなど新規加盟国との結束を深める考えだ。米国主導の世界秩序を否定する「多極化」を訴える方針とみられる。
9日の首脳会談には両首脳のほか、ロシアのラブロフ外相やインドのジャイシャンカル外相らが出席した。
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