今月ロシアが議長を務めている安保理で9日、フランスなどの要請でウクライナ情勢をめぐる緊急会合が開かれました。

はじめにキーウで大きな被害を受けた小児病院の医師がオンラインで当時の状況について報告し「子どもも大人も悲鳴をあげ恐怖と痛みで泣き叫び、まるで地獄だった。今回の攻撃は医療を必要とする子どもたちに長期的で深刻な影響を及ぼすだろう」と述べました。

このあと欧米など各国からは、病院や学校などの民間施設への攻撃は国際人道法違反だとして強く非難する意見が相次ぎました。

このうちフランスのドリビエール国連大使は「ロシアは意図的に住宅地や医療施設を標的にしている。ロシアが責任を問われる新たな戦争犯罪だ」と指摘しました。

またアメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は、安保理議長国のロシアが原因で緊急会合が開かれたことに不快感を示した上で「ロシアは白昼堂々と小児病院を攻撃し子どもたちを傷つけた。口にするだけで背筋も凍る」と非難しました。

これに対してロシアのネベンジャ国連大使は、ロシア軍は軍事施設のみを攻撃の標的にしていて、小児病院に落下したのはコントロールを失ったウクライナ軍の防空ミサイルだと反論しました。

ウクライナの検事総長 ICCに調査求める

ロシア軍がウクライナの首都キーウなどに行った大規模なミサイル攻撃についてウクライナの検事総長は「人道に対する犯罪だ」としてICC=国際刑事裁判所に対して調査するよう求めたことを明らかにしました。

ロシア軍が8日にウクライナ各地に行った大規模なミサイル攻撃では、首都キーウの小児病院などに大きな被害が出て、ウクライナの警察当局は9日、これまでに42人が死亡し、190人がけがをしたと発表しました。

ウクライナのコスティン検事総長は9日、自身のSNSでICC=国際刑事裁判所のカーン主任検察官とオンラインで話したことを明らかにした上で今回のロシア軍の攻撃について「市民に対する戦争犯罪というだけでなく、人道に対する犯罪だ」としてICCに調査を求めたことを明らかにしました。

ウクライナの捜査当局が収集した資料や証拠はICCに送られるとしています。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は滞在先のアメリカのワシントンから動画でメッセージを発信し「NATOサミットが始まる。より多くの防空システムの供与を働きかけていて、実現すると確信している。より多くの航空機の供与も働きかけている。F16戦闘機だ」と述べ、軍事支援を強化する方針が打ち出されることに期待を示しました。

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