10日、ワシントンで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議 ©NATO

 【ワシントン=鈴木龍司】北大西洋条約機構(NATO)は10日、ワシントンでの首脳会議で、ロシアの侵攻を受けるウクライナに対し、来年1年間で少なくとも400億ユーロ(約7兆円)規模の軍事支援を続ける方針を盛り込んだ首脳宣言を採択した。ウクライナが加盟に向けて「不可逆的な道」を進むことを支援することも明記。ロシアに接近する中国を「戦争の重要な支援者」だと名指しし、厳しく非難した。  宣言では、ウクライナ軍に対し、持続的に軍事装備や訓練の機会を提供するため、NATOに新たな枠組みを設立することも表明。ウクライナが求めているNATO加盟については「ウクライナの未来はNATOにある」と支援を強調した。ただ、米国など一部の国はロシアとの戦闘終了後の加盟が望ましいとの立場で、具体的な時期は示されなかった。  ロシアに対する中国の動きを「安全保障の脅威を増大させるものだ」と批判し、軍事面を含めたあらゆる支援の停止を求めた。NATOのストルテンベルグ事務総長は会合後の記者会見で「NATOの同盟国すべてが、これほど明確な文書で(批判を)表明したことは初めてだ」と指摘。「この状態が続けば中国の利益や評価に影響が及ぶ」と強くけん制した。

◆F16戦闘機は今夏に配備できる見通し

 ブリンケン米国務長官は同日、首脳会議の関連会合で、ウクライナ軍の防衛力強化に向けて、オランダとデンマークから米国製の戦闘機F16の輸送を始め、今夏には配備できる見通しだと表明。F16の早期の供与を求めていたウクライナのゼレンスキー大統領は、3カ国に対してX(旧ツイッター)で謝意を示した。  NATO首脳会議には、パートナー国として日本を含めたインド太平洋の4カ国も招待されている。訪米中の岸田文雄首相は最終日の11日、NATOや4カ国の首脳との会合に出席し、この地域で影響力を増す中国への対応などを話し合う。 

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