停戦と人質解放 バイデン大統領が合意実現に期待示す
ガザ地区 人道状況悪化 国連機関の職員“一刻も早い停戦を”
カタールなどの仲介で行われている停戦や人質の解放をめぐる交渉は、ハマス側が恒久的な停戦を合意の前提としないなどの譲歩を示したことで、イスラエル側も前向きな姿勢を見せ、協議が続けられています。これについて、アメリカのバイデン大統領は11日「双方は大枠では一致している」と述べ、交渉に進展がみられるとして合意の実現に期待を示しました。ただ、双方には人質解放の条件や、停戦の手順などをめぐって、なお隔たりがあり、詰めの協議には時間がかかるという見方も出ています。ハマスは11日、声明で「イスラエル側が時間を稼ぐために交渉を先延ばししている」と非難したのに対し、イスラエルのネタニヤフ首相は、演説で「ハマス側が枠組みを逸脱する要求を繰り返している」と述べるなど、双方が非難を続けています。ネタニヤフ首相は、停戦が実現したあとでもイスラエルが戦闘を再開できるという条件は譲れないと主張するなど、ハマスの壊滅を目指す強硬姿勢を崩しておらず、合意に至るのかどうか、先行きは依然不透明です。
イスラエル軍は、11日もガザ地区中部や南部などで攻撃を続け、パレスチナのメディアは子どもを含む34人が死亡したと伝えています。ガザ地区の保健当局は、これまでの死者は3万8345人に上っていると発表しています。また、イスラエル軍は、北部のガザ市の住民に再び退避を通告していて、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、およそ30万人の住民が避難を迫られていると報じています。
ガザ地区中部で支援にあたっているUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関の清田明宏保健局長はNHKの取材に対し、多くの住民が何度も避難を強いられ、劣悪な衛生環境の中でテント生活を続けていて、人道状況の悪化に歯止めがかかっていないと指摘しました。また、食料が足りず、支援物資が略奪されるケースも相次ぐなど治安の悪化も深刻で、南部ラファにあるUNRWAの倉庫ではおよそ3億円分の医薬品が略奪にあったということです。清田さんは「早く秩序を取り戻し、支援が再開できる状態になってほしい」と述べ、一刻も早い停戦が必要だと訴えていました。
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