【動画】米ペンシルベニア州バトラーで13日、トランプ前大統領の演説中に発砲音が鳴った=ロイター

 米ペンシルベニア州バトラーで13日、トランプ前米大統領が演説中に銃撃され、右耳を負傷した。容疑者は射殺され、連邦捜査局(FBI)は暗殺未遂事件として捜査。大統領選への立候補予定者を暴力で抹殺しようとする事件が起きたことに、米国社会で激しい衝撃が広がっている。

  • トランプ氏銃撃後の動き・米社会への影響・リスク…識者が語る懸念

 13日夕、演説を始めて数分後に発砲音が鳴ると、トランプ氏は耳のあたりを押さえて倒れ込んだ。警護官に囲まれて立ち上がると、支持者らに拳をつきあげ、会場を出た。命に別条はない。

 米メディアによると、警護隊が、会場外から銃撃したとみられる20歳の男を射殺した。集会参加者の1人が亡くなり、2人が重体という。

 トランプ氏は自らのSNSに「銃弾で撃たれ、右耳の上を貫通した。私たちの国でこのようなことが起きるとは信じがたい」と投稿した。

 バトラーは「ラストベルト」(さびついた工業地帯)に含まれる、トランプ氏への支持が厚い地域。14日未明、会場に続く道路はパトカーで封鎖されていた。

 FBIと地元警察は13日夜、会見を開き「動機の特定のため精力的に捜査している」と説明した。米メディアによると、その後、FBIは銃撃したとみられる男をペンシルベニア州のトーマス・マシュー・クルックス容疑者(20)と特定した。

 クルックス容疑者は、州の記録によると共和党支持者だが、民主党系の団体に少額の寄付をしたことがある、と米メディアに報じられている。CNNによると、銃撃したのはトランプ氏の演壇から120~150メートルほど離れた建物の屋上からだった。会場近くの不審な男の存在に気づき、事前に警察に伝えたという証言も複数、報じられた。

 バイデン大統領は13日夜の演説で「このような暴力が米国であってはならない」と訴えた。ホワイトハウスによると、その後、トランプ氏とも直接、話をしたという。

 トランプ氏は15日からの共和党大会で大統領候補として指名される予定だ。陣営は13日夜の声明で、トランプ氏が予定通り党大会に出席する意向だと明らかにした。(ワシントン=合田禄、バトラー=下司佳代子)

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