アメリカのトランプ前大統領が13日、演説中に銃撃されました。

トランプ氏は耳にけがをした他、会場にいた3人が死傷、容疑者の20歳の男はシークレットサービスに射殺されました。

耳から血を流し、シークレットサービスに抱きかかえられたアメリカのトランプ前大統領。

次の大統領の有力候補が狙われた暗殺未遂事件は、日本時間の午前7時過ぎ、ペンシルベニア州の演説会場で起きました。

アメリカ・トランプ前大統領が「この国には、いるべきではない人が何百万人もいる。危険な人、犯罪者です」と支持者を前にバイデン政権の移民政策を批判する中、突然、銃声が聞こえ、トランプ氏は右耳に手を当て、すぐに身をかがめました。

会場に響く悲鳴。

トランプ氏は、シークレットサービスに抱きかかえられ立ち上がりました。

右耳から出血し、右頬にも血が付いているのが確認できます。
そして、拳を何度も上げて自らの無事をアピールしました。

聴衆からは「USA!USA!」と声が上がる中、トランプ氏はシークレットサービスに支えられ車に乗り込みましたが、その際、もう一度大きく拳を上げました。

事件後、トランプ氏は自身のSNSに「右耳の上部を銃弾が貫通した。ビュンビュンという音と銃声が聞こえ、銃弾が皮膚を裂くのを感じた」と投稿をしました。

事件後、飛行機でニュージャージー州に到着した際のトランプ氏は、自らの足でタラップを下りていました。

トランプ陣営は、15日からのウィスコンシン州で行われる共和党大会に参加する意向を明らかにしています。

一方、トランプ氏を撃ったとみられる人物についてFBI(連邦捜査局)は、ペンシルベニア州に住む20歳の男、トーマス・クルックス容疑者と特定しました。

クルックス容疑者は、シークレットサービスによって射殺されました。

演説会場の外で撮影された銃撃の瞬間映像には「銃を持ってるぞ!」「男は屋根の上にいるぞ!」と人々が慌てている様子が映っていました。

複数のアメリカメディアは、演説会場から100メートル以上離れた建物の屋根から狙撃した可能性があると報じています。

ライフルを持った男が建物の屋根に登るのに気付き、警察に伝えた男性は「男が屋根に上っていたんだ。彼はライフルを持っていた。彼を指したら警察が走ってきた。そしたら5発の銃声が鳴った」と話します。

今回の銃撃でトランプ氏の近くにいた観客の男性1人が死亡し、男性2人が重体だということです。

事件後、緊急演説したバイデン大統領は「アメリカにはこんな暴力をする場所はない。こんなことは許されない」と述べ、徹底的な捜査を指示したことを明らかにしました。

ホワイトハウスはその後、バイデン大統領がトランプ氏に電話をしたと発表しましたが、どのようなやりとりをしたかについては明らかにしていません。

一方、アメリカ、ドイツ歴訪を終え、14日朝に帰国した岸田首相は事件を受け、自身のSNSに英語と日本語で「民主主義に挑戦する暴力には、毅然(きぜん)と立ち向かわなければなりません。トランプ前大統領の一刻も早い回復をお祈りしています」と声明を発表しました。

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