アメリカ大統領選の激戦州・ウィスコンシン州で開幕した共和党大会。

会場に突然、大歓声が沸き起こったのは日本時間の16日午前10時58分でした。

スクリーンに映し出されたのは、会場に到着したトランプ前大統領の姿。

銃弾が貫通したという右耳には、白いガーゼのようなものが見えます。

大歓声の中、レッドカーペットをゆっくりと歩き会場へと向かうトランプ氏。

湧き上がるトランプコールに右手を高々と掲げて答えます。
すると立ち止まり何かつぶやきました。

暗殺未遂事件から2日。
初めて公の場に姿を見せたトランプ氏を、熱狂で迎える支持者たち。

その姿に長男のトランプ・ジュニア氏も、感極まった表情で拍手を送っていました。

壇上に上がったトランプ氏は拳を5回突き上げ、支持者たちに健在ぶりをアピール。

湧き上がるUSAコールやトランプコールが鳴りやまず、会場の盛り上がりは最高潮に達しました。

共和党大会参加者からは「彼はエネルギーにあふれている。元気が出たよ」「彼はタフガイだ!アメリカ国民全てのために戦うだろう」などの声が聞かれました。

被弾した右耳にガーゼをつけて登場した、その姿をニューヨーク・ポスト紙は“負傷した戦士”との見出しで掲載。

またFOXニュースは“命をささげる覚悟のある男”などと報じました。

各州などの代議員の投票によって、党の大統領候補に正式に指名されたトランプ氏。

暗殺未遂事件後、初めての発言に注目が集まりましたが、党大会初日の今日、銃撃事件の犠牲者への祈りがささげられる場面はありましたが、トランプ氏はスピーチせず会場を後にしました。

専門家は、トランプ氏が発言しなかったことや行動の端々に銃撃事件を受けてのアピール戦略が見えたと指摘します。

明治大学・海野素央教授は「これはやはり、最後の受諾演説への期待を高めるということです。今、言葉で話すのではなくて態度で示す。表情やジェスチャーによって大統領らしさ・威厳を発信する。だから今話す必要はないということです。暗殺未遂事件の時と同じ拳を上げる動作をしているわけです。『暗殺未遂事件の時の自分だ』という演出なんですよ」と説明しました。

トランプ氏は党大会最終日の18日に指名受諾演説を行う予定です。

暗殺未遂事件の容疑者で事件後に射殺されたトーマス・クルックス容疑者。

事件当時に撮影されたとみられる映像には、屋根の上に寝そべり狙いを定め、銃を構えているクルックス容疑者とみられる男の姿が捉えられていました。

警備の不備を指摘する声も上がっている、この事件。

ニューヨーク・ポスト紙は情報筋の話として当時、この建物は現地警察が監視所として使っていて、建物は警察の対狙撃チームが使用していたなどと報じました。

また、CNNはクルックス容疑者が事件前日に地元の射撃場を訪れていたと報じました。

事件当日に約1.5メートルの高さのはしごと弾薬50発を購入したあと、車で演説会場に向かったということです。

捜査当局は集会参加者ら100人近くから事情聴取を行っていますが、クルックス容疑者の動機は依然、不明なままです。

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