中国で燃料を運んだタンクローリーのタンクを洗浄せず食用油の輸送にも使っている企業があることが発覚し、国務院(政府)が調査に乗り出した。食の安全を心配する市民の間で、衝撃が広がっている。

 中国紙・新京報が今月2日、調査報道で実態を明らかにした。記事によると河北省と天津市で、石炭を原料にした液体燃料を運搬したタンクローリーが、タンク内を洗浄しないまま食用油の輸送にも使われていた。ある運転手は記者に対し、洗わないことは業界内の「公然の秘密」だと証言したという。

 新華社通信は9日、国務院の食品安全部門が調査チームを設け、違法な企業を厳しく取り締まる方針だと伝えた。

 中国では過去にも、2008年に有害物質メラミンが混入した粉ミルクによって大規模な被害が出るなど、食の安全をめぐる深刻な事件が発生している。SNSではこの事件以来の重大な事態だという指摘や、「庶民の食品の安全はまったく保証されていない。監督部門は何をやっているんだ」といった怒りの声が上がっている。(瀋陽=金順姫)

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