国連安全保障理事会は22日、イエメンの反政府武装組織フーシによるイスラエルの商都テルアビブ攻撃を受けて緊急会合を開いた。フーシへの非難が相次ぐ中、イスラエル軍が「報復」としてフーシが支配する紅海沿岸の港湾都市ホデイダを空爆したことへの懸念も出た。

 会合は米国と英国、フランスが要請した。国連のディカルロ事務次長によると、19日にあったフーシによるドローン(無人機)攻撃で1人が死亡、10人が負傷。未確認だが、イスラエル軍による20日の空爆で、少なくとも9人が死亡、80人以上が負傷したとみられているという。

 ディカルロ氏はさらなる対立の激化を懸念し、「ひとつの軽率な行動、誤算が、国境をはるかに越え、想像を絶する大惨事を引き起こしかねない」と警告した。

 イスラエルを支持する米国はフーシを非難し、イスラエル軍の攻撃は正当だったと擁護。ここ数カ月でフーシはイスラエルに向けて200発以上のミサイルとドローンを発射していると主張。米国のウッド国連代理大使は「もしこれが国際の平和と安全に対する脅威として定義に当てはまらないとすれば、何が当てはまるのか」と訴えた。フーシがパレスチナ自治区ガザの情勢を受けての行動と主張していることには「誤ったシナリオ」と否定した。

 ロシアのネベンジャ国連大使は民間人への攻撃を非難し、ガザでの戦闘が中東地域にさらなる危険をもたらしていると指摘。「イスラエル軍は、世界で最も人口密度の高い地域の一つであるガザを猛烈に破壊し続けている。我々はいま、再び深刻な紛争に見舞われる危険を冒している」と述べ、イスラエルに対しガザでの即時停戦に応じるよう呼びかけた。(ニューヨーク=遠田寛生)

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