【ワシントン=浅井俊典】アメリカ共和党のトランプ前大統領(78)が選挙集会で銃撃された暗殺未遂事件で、大統領警護隊(シークレットサービス)トップのチートル長官が22日、下院監視・説明責任委員会の公聴会に出席し、トランプ氏への銃撃を防げなかったことは「この数十年で最も重大な失敗だ」と認めた。

◆「脅威との認識があれば阻止していた」

 チートル氏は事件の警備態勢が適切だったかを検証する公聴会で、銃撃が起きる前に容疑者を不審人物として認識し、警護隊が複数回の連絡を受けていたと証言。その上で「不審な行動と脅威は区別される」と説明し「もし脅威があるとの情報が入っていたら、警護隊は決してトランプ氏をステージに上げなかった」と弁明した。  共和、民主両党の複数議員は、1981年に共和党のレーガン大統領が銃撃された際、大統領警護隊の長官が辞任した事例などを挙げ、チートル氏の辞任を要求。チートル氏は「現時点では私が適任だと思っている」と辞任を拒否した。

◆容疑者は民主党大会の日程も検索

2024年7月18日、米ウィスコンシン州ミルウォーキーで、共和党大統領候補の指名受諾演説に臨んだトランプ氏(鈴木龍司撮影) 

 AP通信によると、捜査当局は押収した容疑者の携帯電話の解析から、トランプ氏やバイデン大統領、ガーランド司法長官ら政府高官の画像を検索していたことが分かった。大統領選の党候補を正式指名する民主党大会の日程や、トランプ氏の行動日程も調べていたという。  事件は13日に東部ペンシルベニア州で開かれた選挙集会で発生。演説中のトランプ氏が銃撃されて右耳を負傷した。集会参加者の1人が死亡し、2人が重傷を負った。120~150メートル離れた建物の屋根から銃撃したトーマス・クルックス容疑者(20)はその場で射殺された。 

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