23日、ソウル近郊で開かれた「国民の力」党大会で新代表に選出された韓東勲氏(左から2人目)=上野実輝彦撮影

 【高陽=上野実輝彦】韓国の保守系与党「国民の力」は23日、ソウル近郊の京畿道高陽で党大会を開き、韓東勲(ハンドンフン)前法相(51)を新たな代表に選出した。韓氏は4月の総選挙惨敗で党のトップを退いたが、返り咲いた。次期大統領候補に名前が挙がる韓氏は、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領と一定の距離を置く。党勢回復に向け、不協和音の生じた党内をまとめられるかが焦点になる。  代表選は党員投票80%と世論調査20%を合算して競い、韓氏が62.8%を得て圧勝した。  韓氏は選出後の演説で「過熱した競争や葛藤のせいで心配をかけた」と陳謝した上で「党員と国民は変化を選んだ。今の私たちは、国民の目線に合わせた政治をしていないと思われている」と改革を訴えた。現在の政府・与党の問題点指摘で、結果発表に先立ち会場を訪れた尹氏が「政府と与党は運命共同体だ。ワンチームになって働いてこそ国民の支持も得られる」と話した内容との温度差が際だった。  韓氏は、尹氏の妻・金建希(キムゴンヒ)氏の疑惑の扱いを巡り尹氏と不仲に陥ったとされて、代表選でも政権に批判的な姿勢を示した。次期大統領選を見据え、支持率が低迷する尹政権の刷新をアピールしたとの見方がある。  代表選で韓氏は、尹氏に近い3候補と中傷を繰り返し、党選挙管理委員会から党規違反にあたるとして「是正命令」を受けた。内紛は党や国民を顧みない主導権争いとして映り、党員投票率の低下など失望を招いたとみられている。  党大会では、韓氏に近い議員2人が党執行部に選ばれた。党運営で韓氏の影響力が強まり「大統領選に向けて基盤固めに乗り出す」(聯合ニュース)との見方がある一方、内部対立がさらに激しくなる可能性もある。党大会に出席した元国会議員は「今の政府・与党に対する国民の視線は非常に厳しい。それぞれの思惑にこだわらず融和する姿勢を見せていかなければ、政権交代を許しかねない」と注文をつけた。 

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