景気減速懸念もハイテク株売りを加速させた(写真はニューヨークの米証券取引所ナスダック)=ロイター

【ニューヨーク=竹内弘文】主な米国株指数の1つであるナスダック総合株価指数が24日、前日比3.6%安の1万7342.41で引けた。下落率は2022年10月以来、約1年9カ月ぶりの大きさを記録した。電気自動車(EV)のテスラなどの決算内容が市場予想に届かず、景気減速感を示す経済指標も重荷となった。テック株安が再び加速している。

S&P500種株価指数は2.3%安の5427.13で引け、22年12月以来の下落率となった。ダウ工業株30種平均は504ドル(1.2%)安の3万9853ドルで取引を終えた。ハイテク株の比率の高い株価指数ほど下げがきつい関係がみられた。

前日発表の主要銘柄の決算が株安の引き金となった。テスラの24年4〜6月期決算で営業利益率の悪化で1株利益が市場予想を下回ったうえ、市場の関心を集めていたロボタクシー(自動運転タクシー)の公表延期を明らかにした。テスラ株は24日、12%安に急落した。同じく業績が市場予想に未達だった米グーグル持ち株会社アルファベットも株価は5%安となった。

巨大テック7銘柄「マグニフィセント・セブン(MAG7)」の決算発表皮切りとなった2社が予想未達となった余波は他のMAG7銘柄にもおよび、30日に決算発表を予定するマイクロソフトは4%安となった。半導体最大手エヌビディアも7%安と沈んだことで、幅広い半導体関連銘柄が下げた。

マクロ指標が株売りを誘発した面もある。米S&Pグローバルが発表した7月の米購買担当者景気指数(PMI)速報値で、サービス業は改善した一方、製造業は49.5と好不況の節目50を再び割り込んだ。6月の米新築住宅販売も低調だった。景気の減速感が強まる中で米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が一段と強まる。

強い現金創出力を持つ巨大テックよりも、景気動向に業績が左右されやすく借り入れ負担も大きい銘柄のほうが、一般に金融緩和の恩恵を受けやすい。「2年ほど続いてきた巨大テック株買い、中小型株売り、の持ち高を解消する動きが続いている」とノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルのチャーリー・マケリゴット氏は指摘する。

大方の市場参加者は9月利下げ開始をメインシナリオに据えている。一段の前倒しを主張する声も出てきた。

ニューヨーク連銀前総裁のビル・ダドリー氏は米ブルームバーグ通信に寄せた論考で「利下げで景気後退を回避するにはすでに手遅れかもしれないが、時間の浪費はリスクを増大させる」とみて7月30〜31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに踏み切るべきだと主張した。

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