【バンコク=藤川大樹】軍事クーデターで実権を握ったミャンマー国軍が武器や関連物資の調達にあたりタイの銀行を利用しているとの国連の指摘を受け、タイ外務省は24日、関係機関との会合を開き、ミャンマー関連の取引について監視を強化する方針を決めた。  タイ外務省によると、会合には、中央銀行や資金洗浄防止委員会、タイ銀行協会などの代表者らが出席。今後、タスクフォースを設け、金融機関の監視能力を向上させる方法などを検討する。同省は「タイは人権問題とミャンマー国民の福祉を最も重視している。タイは厳格に国連決議を順守し、両国の国民の福祉に影響を与える制裁を支持しない」とコメントした。

◆国連特別報告者が指摘

 ミャンマーの人権状況に関する国連特別報告者のトーマス・アンドリュース氏が6月下旬に公表した報告書によれば、ミャンマー国軍による国際金融システムを通じた武器やデュアルユース(軍民両用)技術、製造装置、原材料などの調達額は2022年度の3億7700万ドル(約580億円)から23年度は2億5300万ドルとなり、3分の1ほど減少した。  これまで取引額が最大だったシンガポールが監視を強めたことから、武器の供給源はタイへ移転。タイで登記された企業は23年度、前年度の約2倍となる1億2000万ドル以上の武器や関連物資を国軍に納入し、攻撃ヘリの部品などが含まれていた。取引の約8割がサイアム商業銀行を通じて行われていたという。  タイ政府は特別報告者に追加情報を求める方針。 

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