【ニューヨーク=竹内弘文】26日の米株式市場でダウ工業株は大幅続伸し、前日比654ドル(1.6%)高の4万0589ドルで引けた。インフレ指標の鈍化で市場参加者は利下げ期待を強めた。このところ売り込まれていたハイテク株も含めて、幅広い銘柄が買われた。ただ値動きは荒く、売り買いが交錯している様子をうかがわせる。

多くの機関投資家が参照するS&P500種株価指数は1.1%高の5459.10、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は1.0%高の1万7357.88で引けた。

朝方発表の6月の米個人消費支出(PCE)物価指数で、エネルギーと食品を除くコア指数は前年同月比2.6%上昇となった。同指数は米連邦準備理事会(FRB)が金融政策運営で重視するインフレ指標。伸び率は市場予想と同じだったものの、鈍化傾向は鮮明となった。

市場が織り込む「9月利下げ開始」シナリオの確度が一段と高まり、債券市場で5年債など中期債の利回りが低下(債券価格は上昇)。前日の4〜6月期の国内総生産(GDP)が予想以上の実質成長率を示していただけに「市場は再びゴルディロックス(適温経済)の雰囲気」(米金融調査会社MFR)となり、にわかにリスク資産の株式にマネーを回帰する動きが出た。

S&P500種株価指数採用銘柄の9割近くが上昇するなど広範な銘柄群に買いが入った。決算要因もある。スリーエム(3M)は4〜6月期決算で特別項目を除く売上高と1株利益が市場予想を上回ったのを好感し株価が23%高となった。1銘柄だけで計算上ダウ平均を150ドル程度押し上げた。

もっとも、ダウ平均の日中値幅(取引時間中の高値と安値の差)は前日に続き600ドルを超えた。方向感が定まりにくい荒い値動きは市場の不安定感を映す。

7月上旬までの相場上昇をけん引してきたハイテク株には7月中旬から持ち高調整の売りがかさんでいる。売り圧力はなお解消されていないとみられ、好調な経済指標に反応した買いと綱引き状態にある。

来週は30〜31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)とマイクロソフトやアマゾン・ドット・コム、アップルの決算発表がある。今回のFOMCは政策金利据え置きとの見方が大勢で「9月利下げ可能性を示唆する声明文の微調整」(米JPモルガン・チェースのマイケル・フェローリ氏)が焦点となる。大手テック銘柄決算も結果次第で相場の雰囲気を大きく変えうる。

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