長崎市の鈴木史朗市長は7月31日、被爆79年となる8月9日の平和祈念式典に、イスラエル代表を招待しないことを明らかにした。鈴木市長は記者会見で「政治的な判断ではなく、式典を平穏かつ厳粛に、円滑に行いたいという考えからの判断だ」と語った。

 長崎市は例年、各国の在日大使館に平和祈念式典の招待状を発送している。ただ、パレスチナ自治区ガザ地区で戦闘が続いていることを踏まえ、鈴木市長は6月の記者会見で、「式典での不測の事態のリスク」を理由にイスラエルの招待を保留。さらに、同国のギラッド・コーヘン駐日大使に宛てて、「被爆地の市民は心を痛めている」と、即時停戦を求める書簡を送っていた。

 鈴木市長は正式に招待見送りを決めた理由について、「現時点においてもリスクなどへの懸念に変わりはない」と語った。

 平和祈念式典への招待をめぐって長崎市は、ウクライナ侵攻が始まった2022年から、ロシアとベラルーシの招待を見送っている。

 コーヘン駐日大使は31日、自身のX(旧ツイッター)に「長崎市長が8月9日の平和祈念式典にイスラエル不招待を決めたことは遺憾であり、長崎市がこれまで表明してきた姿勢の根本に反し、世界に誤ったメッセージを送る」と投稿した。

 広島市は8月6日の平和記念式典に、ロシアとベラルーシの代表を招待しない一方、イスラエルは招待する方針だ。(小川崇)

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