ベネズエラ大統領選で、選管は反米左派のマドゥロ大統領の3選を発表した。野党は票の集計に不正があったと訴え、大きな抗議デモが起きた。政権による野党への妨害も指摘された。公正な選挙だったか疑念を抱かざるを得ない。
世論調査では野党候補ゴンザレス氏のリードが伝えられていた。選管は政権の影響下にある。野党が投票所に派遣した監視員が一部入れなかったとの報道もある。
これではマドゥロ氏に有利になる操作があったと疑われても無理はない。南米の周辺国や米国からも疑問の声が上がった。
ブリンケン米国務長官は「ベネズエラ国民の意志を反映していない」として深刻な懸念を示した。マドゥロ政権は選管発表が正しいと主張するなら、投票の詳細なデータを明らかにすべきだ。
事実上の一騎打ちだった大統領選は、チャベス前大統領から四半世紀続く反米左派体制の継続か否かを問うた。抗議デモは、政権交代を望んだ有権者の反発の大きさを示す。治安部隊との衝突で市民に死者が出たと伝えられた。混乱の長期化を懸念する。
マドゥロ氏は2013年に就任し、長期政権で独裁色を強めた。18年の前回大統領選では、野党が公正な選挙を期待できないとしてボイコットし、同氏が再選を決めていた。
ベネズエラの原油埋蔵量は世界最大だが、投資不足で生産は低迷する。米国の経済制裁も響いた。経済の悪化で国民生活は困窮し、770万人が国外に脱出したとされる。続投に失望し、米国などに逃れる人がさらに増えかねない。
マドゥロ氏は反米を強め、ロシアや中国との関係を深めてきた。選管発表を受けて中ロ首脳は早速、同氏に祝意を表した。体制が批判勢力を力で抑え込む強権発動は決して看過できない。
今回の大統領選について日本も声明を出し、投票結果の信頼性を裏付けるのに必要なすべての情報の公表を求めた。国際社会は公正な選挙を促し続ける必要がある。
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