イスラエル軍が発表したデイフ氏殺害の声明=AP

【イスタンブール=時事】イスラエル軍は1日、イスラム組織ハマスの軍事部門「カッサム旅団」トップ、ムハンマド・デイフ氏の殺害を確認したと発表した。軍は7月13日、デイフ氏を標的にパレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスのハマス部隊司令官の関係先を空爆。司令官の殺害は先に公表されていたが、一緒にいたデイフ氏の生死は判明していなかった。

イスラエルのガラント国防相は声明で「デイフの死は重要な一里塚で、ハマスが壊滅しつつあることを示している」と強調。「ハマスのテロリストを追跡し、任務達成まで休まない」と警告した。

イスラエル軍は7月30日にはレバノンの首都ベイルートを空爆し、ハマスと連帯してイスラエル攻撃を続けるレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの軍事部門最高幹部を殺害。翌31日には、イスラエルと敵対するイランの首都テヘランに滞在していたハマス最高指導者ハニヤ氏が暗殺され、イスラエルの関与が取り沙汰されている。

ハマスによる昨年10月の越境攻撃を受けて「ハマスの軍事・統治能力の破壊」を目指すイスラエルは、ガザで続けている軍事作戦で、ハマスのガザ地区トップ、ヤヒヤ・シンワル氏らの殺害を狙っている。ハマス幹部の多くは既にイスラエルの攻撃で死亡したが、シンワル氏の消息は依然として不明で、今後も追跡を継続する。

イスラエルのネタニヤフ首相は7月31日の演説で、最近の戦果を列挙しつつハマスを含む親イラン勢力に「壊滅的打撃を与えた」と評価。「圧力に屈したら、ハマスの幹部や数千人のテロリストを排除できなかった。全ての成果は、国内外の圧力に関係なく勇敢な決定を下したからだ」と述べ、国際社会の懸念をよそに軍事的威圧を強める必要性を改めて訴えた。

デイフ氏、ハニヤ氏ら幹部の相次ぐ殺害により、ガザ停戦交渉の行方は一層混迷を深めている。仲介役を務めるカタールのムハンマド首相は「和平(協議)は真剣なパートナー間で行う必要がある」と指摘。イスラエルによる暗殺や、市民を標的にしたガザでの作戦が続く限り、交渉は難しくなると改めて警告を発した。

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