市場参加者の不安心理が相場の重荷に(7日、ニューヨーク証券取引所)=AP

【ニューヨーク=佐藤璃子、竹内弘文】7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比234ドル(0.6%)安の3万8763ドルで引け、2日ぶり反落となった。5日までの相場急落を経ても反発の勢いは乏しい。米景気の先行き不安が拭えないなか、株式投資家は景気失速への耐久力が期待される銘柄群に資金を移している。

日本株や欧州株が上昇した流れを引き継ぎ、米国市場でも朝方は買いが先行した。ダウ平均は前日比480ドル高まで上げる場面もあった。ただ、10年債入札の結果が軟調と伝わるとマイナスに転じた。多くの機関投資家が参照するS&P500種株価指数も0.8%安、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は1.0%安だった。

市場では「軟調な経済指標に加えて企業のレイオフ(一時解雇)も増えており、景気の先行きに対する不安が改めて意識された」(米運用会社ナベリアのルイス・ナベリア最高投資責任者)といった解説が聞かれた。

ダウ平均は1〜5日の3営業日で計2100ドル以上下げた。その後2営業日での合計は60ドル上昇したにすぎない。急落分を取り戻すにはほど遠い。

S&P500の業種別指数でみてみると反発力にはばらつきがみられる。人工知能(AI)による需要拡大期待が剝落した「IT(情報技術)」は7月31日終値を起点にすると8月5日まで8.9%下げ、その後2営業日で下落率はさらに0.2ポイント増えた。自動車やレジャー用品など、業績への景気影響が大きい「一般消費財」も下げが止まらない。

対照的に、業績が景気に左右されにくいディフェンシブ銘柄や高配当銘柄は底堅い動きを見せた。「生活必需品」指数は1〜5日をならすとほぼ横ばいで、6〜7日には0.6%上昇した。プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は7月末比6%高、コカ・コーラは3%高となった。増配基調が続くジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は1%高だ。

ディフェンシブ銘柄や高配当銘柄へのマネー退避は米景気先行きに対する不安を映す。「恐怖指数」とも呼ばれる米株の変動性指数(VIX)は7日に27.85と、前日から上昇した。VIX先物も少なくとも2024年中の限月はすべて20を上回る。

VIXが28だと今後1年間で7割の確率で上下約28%に変動する、との見立てとなる。20を超えると不安心理が高まったとされる。当面、荒い値動きが続くと警戒している投資家が多いことを示している。

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