【バンコク=藤川大樹】タイの憲法裁判所に解党を命じられた最大野党・前進党の所属議員らは9日、首都バンコクで記者会見を開き、新たな政党「国民党」を設立すると発表した。新党の党首には、前進党で副幹事長を務めたナタポン氏(37)が就く。

9日、タイの首都バンコクで、新党設立を発表するナタポン氏=藤川大樹撮影

 前進党の所属議員はいったん、下院議員を擁していない既存政党に合流。党名と党首を替えて再出発した。新党の議席数は143。

◆2027年の総選挙で単独過半数目指す

 ナタポン氏はタイの名門チュラロンコン大でコンピューター工学を学んだ。前進党の前身で、2020年に解党に追い込まれた新未来党のタナトーン元党首と近く、党内の調整力の高さや気さくな人柄が評価されたという。ナタポン氏は会見で「国民は議員個人ではなく、私たちの政策と働きぶりに票を投じてくれたと思う。政治を国民のものにするために最善を尽くしたい」と強調。2027年の総選挙(下院選)で単独過半数を目指す方針を示した。  下馬評では前進党で副党首を務め、国民から人気の高い女性議員シリカンヤー氏(43)が党首に有力視されていたが、同氏は「最初から党首になるつもりはなかった。ナタポン氏を推薦した」と明かした。  憲法裁は7日、前進党が掲げた不敬罪改正の公約が憲法違反に当たるとして解党を命令。ピター前党首やチャイタワット党首を含む党役員ら11人の公民権は10年間停止された。ピター氏らは政治の表舞台からは退くが、裏では新党の運営を支えるとみられている。 

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