プーチン大統領「敵は間違いなく相応の報い受ける」
ウクライナと国境を接するロシア西部のクルスク州では、ウクライナ軍がロシアによる軍事侵攻以降、最大規模となる越境攻撃を続けています。
ウクライナのメディアは12日、ウクライナ軍の兵士が国境から4キロの地点にあるクルスク州内の集落で、建物からロシア国旗を取り外す様子だとする映像を公開しました。
プーチン大統領は、12日、安全保障を担当する政権幹部やウクライナと国境を接する3つの州の知事らと会議を開き、この中でクルスク州のスミルノフ知事代行は州内でこれまでに12人が死亡し、121人がけがをしたと明らかにしました。
また、ウクライナ軍は国境から12キロの地点まで進み、州内の28の集落がウクライナ軍の支配下にあり、これまでにあわせて12万1000人が避難したと報告しました。
隣接するベルゴロド州の知事も国境沿いの一部の地区から、およそ1万人が避難したと報告しました。
プーチン大統領は「国防省の任務は敵をわれわれの領土から追い出し、国境を確実に守ることだ」と述べ、ウクライナ軍をロシア領から撃退するよう指示を出しました。
また、ウクライナ側のねらいについて「敵は将来の交渉を有利にしようとしているようだ」と述べました。
さらにウクライナ側はロシア国民をおびえさせ、結束を破壊することをねらっているとしたうえで、「敵は間違いなく相応の報いを受けるし、われわれの目的は間違いなく達成される」と強調しました。
ウクライナ軍 総司令官「1000平方キロ支配下に」
ウクライナのゼレンスキー大統領は12日、戦況について協議するため、政権幹部を集めて会議を開きました。
この中でウクライナ軍のシルスキー総司令官は、越境攻撃を行っているロシア西部クルスク州の状況について、「現時点で、およそ1000平方キロメートルがわれわれの支配下にある」と報告しました。
越境攻撃 国境30キロまで及んでいるか
ウクライナ軍のロシアへの越境攻撃は、ロシア西部クルスク州の、ウクライナの国境からおよそ30キロの地点まで及んでいるとみられます。
ロシア国防省は11日、ウクライナと国境を接する西部クルスク州にある3つの集落でウクライナ軍の越境攻撃を撃退したと発表しました。3つの集落は、もっとも遠い地点でウクライナとの国境からおよそ30キロ、ロシア領内にあります。
こうした中、AFP通信は11日、ウクライナの治安当局者の話として、今回の越境攻撃には数千人規模の兵士が参加したとした上で、「狙いは敵の戦線を拡大させ、ロシアの状況を不安定化させることにある」と述べたと伝えています。
キーウ市民「ほかに方法ない」
ウクライナ軍がロシアで行っている越境攻撃について、首都キーウの市民からは、支持するとともに戦況の好転につなげてほしいと期待する声が聞かれました。
キーウ市内に住む65歳の女性は「ロシアは私たちを殺しにきた。だから、いま行われている越境攻撃は正しい。目には目を、歯には歯だ。ほかに方法がないと思う」と述べ、作戦を支持する考えを示しました。
47歳の男性は「越境攻撃はロシアに心理的な影響を与える方法であり、成功したと思う。肯定的に見ているが、警戒もしている」と述べ、ロシアに圧力をかけたという意味では効果があったものの、この勢いがどこまで続くかは慎重に見る必要があるとしています。
その上で、欧米から供与された兵器を越境攻撃に使うことについて「こうした兵器がある以上、ウクライナの防衛や反転攻勢のために使用すべきだ」と述べ、引き続き欧米などの支援も得ながら越境攻撃を進め、戦況の好転につなげてほしいと期待していました。
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