731部隊跡地を訪れ、石碑に向かい手を合わせる清水英男さん(13日、中国黒竜江省ハルビン市)=共同

【ハルビン(中国黒竜江省)=共同】日中戦争中に関東軍防疫給水部(731部隊)の少年隊員だった清水英男さん(94)=長野県宮田村=が13日、79年ぶりに中国黒竜江省ハルビン市にある部隊の跡地を訪れた。清水さんは「謝罪と不戦平和の誓い」と記された石碑の前で手を合わせた後「申し訳ないことをした」と述べ、犠牲者を追悼した。

731部隊は細菌兵器の開発を進め、人体実験を実施したとされる。清水さんは731部隊に関する展示施設「罪証陳列館」の館長らに付き添われ、特設監獄や細菌実験室の跡地を見て回った。

本部棟の施設内では「ここに霊安室があった」と話した。「帰国後、どうなるか分からなかった」と、撤退当時の不安な心境を明かした。

石碑に到着すると、深くお辞儀をし黙とうをささげた。「私も大変な思いをした。多くの仲間も失った」と目を潤ませた。陳列館では部隊の活動を記録した資料や人体実験に使われたとされる器具を見学し「無残なことをしてしまった」と語った。

清水さんは14歳で満州(現中国東北部)に渡り、1945年4月から約5カ月間、少年隊の一員になった。人体の標本を見たり、部隊の関連施設の爆破に加担したりしたことを後悔し続け、現地での「謝罪と慰霊」を望んでいたという。

中国外務省の林剣副報道局長は13日「歴史の真相を直視する清水さんの勇気を称賛する」との談話を発表。「日本は軍国主義の侵略の歴史を正しく認識し、深く反省すべきだ」と強調した。

国営通信新華社を含む中国の各メディアが清水さんの訪問を報道。国営中央テレビは13日、清水さんのインタビューを繰り返し放送した。

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