ウクライナ軍のシルスキー総司令官は、15日、ロシア西部のクルスク州に越境攻撃を開始してから10日間で、国境から35キロの地点まで進軍し、1150平方キロメートルにわたる地域と82の集落を掌握したとして、支配地域を拡大していると主張しました。

さらに、クルスク州に軍の司令官事務所を設置したとも明らかにしました。

ただ、ウクライナ軍が過去24時間で前進した距離は最大1.5キロとしていて、アメリカのシンクタンク、「戦争研究所」は、ロシア軍が援軍を送り込む中で、ウクライナ軍の前進速度が落ちていると指摘しています。

一方、クルスク州の知事代行は、15日、住民を避難させる地域を拡大すると発表するなど、対応に追われています。

また、ロシアのベロウソフ国防相は、国境沿いの州の知事などとの会議で、ウクライナ軍の攻撃から住民やインフラを守るために追加の措置を取ると表明しました。

こうした中、ロシア国防省は、14日、クルスク州で捕虜にしたウクライナ軍の兵士らだとする映像を公開しました。

一方、ロイター通信は、ウクライナの治安当局の関係者の話として、クルスク州で14日、ウクライナ側が100人以上のロシア軍の兵士を捕らえたと伝えていて、双方の間の攻防が激しさを増していることがうかがえます。

モスクワ市民の反応は

ウクライナ軍が国境を越えてロシア側に攻撃を続けていることについて、モスクワの市民がどのように受け止めているか聞いたところ、戦況の変化をきっかけに和平が進むことを望む声がある一方で、反撃に出るべきとの声も聞かれました。

77歳の女性は、「大惨事です。人々は苦しんでいる。ただ、戦況の変化により、早く和平交渉に入れるのではないかと思う。人々はそれを期待しているが、すべては指導部にかかっている」と話したほか、40歳の男性も「ウクライナは、ロシアに掌握された領土と交換するものが必要で、この攻撃は当然だ。ロシアは、軍を撤退させ、掌握した領土をウクライナに返す代わりにクルスク州を取り戻すべきだ」と話しました。

またクルスク州に友人がいるという21歳の女性は「ショックだ。わたしの友人が巻き込まれるまでは、戦争は、私には影響しないと思っていた。ウクライナの越境攻撃は、事態を悪化させるだけで、和平には時間がかかるだろう」と話しました。

また、78歳の男性は「ウクライナ軍による国境を越えた侵入は犯罪であり、罪のない子どもたちを殺すことや略奪行為をすることも犯罪だ。ロシア軍には、全力を尽くして反撃した上で、ウクライナとの国境を越え、われわれにミサイルが届かないように緩衝地帯を作ってほしい」と話しました。

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