【ニューヨーク=佐藤璃子、野一色遥花】15日の米株式市場でS&P500種株価指数は6日続伸し、前日比1.6%高の5543.22で引けた。市場予想を上回る米小売売上高を好感し、8月初旬の急落分を帳消しにした。テック株に加え、生活必需品や医療などディフェンシブ業種の上昇がけん引する一方、一般消費財やエネルギーなど景気敏感株は戻りが弱かった。過度な景気不安は薄らいだものの、慎重な姿勢を保つ。
ダウ工業株30種平均は前日比554ドル(1.4%)高の4万0563ドル、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数も前日比2.3%高の1万7594となり、両指数は7月末以来の高値となった。
米商務省が15日発表した7月の小売売上高は前月比1.0%増加と市場予想(0.3%増)を上回り、米個人消費の底堅さを映した。同日発表の週間の米新規失業保険申請件数は予想を下回り、景気減速への懸念が和らいだ。
米運用会社ナベリアのルイス・ナベリア最高投資責任者は「米連邦準備理事会(FRB)が早期利下げに踏み切らず、金利据え置きしてきたことが適切な判断だったと示すデータだった。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げはすでに決まったようなものだ」と解説した。
景気不安を緩和するデータに加え、前日までに発表された卸売物価指数(PPI)や消費者物価指数(CPI)がインフレ鈍化傾向を示したことを受けて多くの市場参加者は9月の利下げをメインシナリオに据えている。
銘柄群でみると主にIT(情報技術)が相場の回復を主導した。半導体最大手エヌビディアは直近安値を付けた7日以降、株価が24%上昇しており、7月末と比べても5%高い水準にある。
景気動向が業績に与える影響の大きい一般消費財や金融、エネルギーなどは株価回復が相対的に鈍い。米民泊仲介大手エアビーアンドビーは7月末対比で14.8%、クレジットカード発行大手キャピタル・ワンは9.4%下落した。
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