【シカゴ=芦塚智子】ビル・クリントン元米大統領は21日、民主党全国大会で演説した。「カマラ・ハリス、喜びの大統領(The President of Joy)が米国を導く必要がある」と同党の大統領候補に指名されたハリス副大統領への支持を訴えた。
クリントン氏は、再選出馬を断念したバイデン大統領の経済再建や同盟関係強化などの成果を挙げた。その上で「彼は政治家にとって非常に難しいことをした。自ら政治権力を手放した」とたたえた。
共和党の大統領候補であるトランプ前大統領を「すべて自分、自分、自分だ」と批判した。「ハリス氏が大統領になれば、毎日が皆さん、皆さん、皆さんのために始まるだろう」と2人を対比した。
クリントン氏は好景気に沸いた90年代の米国を象徴する存在として根強い人気がある。経済問題を分かりやすく説明することにも定評があり、演説でも「1989年の冷戦終結以降、米国では約5100万の雇用が創出された。成績は民主党が5000万で、共和党は100万だ」と指摘した。
クリントン氏は大統領として中道路線を取った。民主党内には選挙戦で無党派層への浸透を助ける役割を期待する声がある。一方でクリントン氏の時代に比べて現在の民主はリベラル色が濃くなっており、性的少数者の権利や犯罪対策などを巡る当時の政策には批判も出ている。
東部メリーランド州の代議員ミシェル・ダッパートさん(33)は「クリントン氏はあの時代の素晴らしいリーダーだった。今は新しいページをめくる時だ。だからこそハリス氏を大統領に選ぶ必要がある。民主党は前進を続ける必要がある」と力説した。
クリントン氏が大統領だった時は小学生だったという中西部オハイオ州の30代女性代議員クリスティーさんは「90年代は同性愛を公言するのも難しかったが、今では同性婚の合法化など民主党も米社会も大きく変わった」と指摘。「今回の党大会は若い代議員が多い。若い世代が求めるものを民主党が受け入れるようになったことは素晴らしい」と強調した。
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