【シカゴ=浅井俊典】米中西部イリノイ州シカゴで開かれている民主党大会は3日目の21日、大統領選の副大統領候補に正式指名されたウォルズ・ミネソタ州知事(60)が指名受諾演説し、「これは自由をかけた選挙だ。私たちは後戻りしない」と決意を述べた。11月の本選で共和党のトランプ前大統領(78)を破るため、大統領候補のハリス副大統領(59)を支える姿勢を強調した。

◆「妊娠中絶反対は自由への介入」

 ウォルズ氏は演説で、米国民の「自由」について繰り返し言及。共和党が人工妊娠中絶の反対などで国民の自由に介入していると批判し、「民主党が語るのは自分自身と愛する人がより良い生活を送る自由、医療を自分で決められる自由だ」などとアピールした。

21日、米シカゴの民主党大会で演説する副大統領候補のウォルズ氏=鈴木龍司撮影

 2019年から中西部ミネソタ州知事を務めるウォルズ氏は、元高校教師でアメリカンフットボールのコーチも務めた親しみやすさが売りの庶民派。全国的な知名度が低いため、視聴者が多いゴールデンタイムにテレビ中継された受諾演説を有権者への自己紹介と位置付けた。

◆中間層のために戦えると強調

 ミネソタ州知事として、人工妊娠中絶の権利を保障する州法を成立させ、学校給食の無償化など中間層重視の政策に取り組んだ。演説では、中西部ネブラスカ州の中流家庭で生まれ育ち、教師や州兵を務めた経歴などを語り、ハリス氏と自身が中間層のために戦える候補だと強調した。  21日は、クリントン元大統領やペロシ元下院議長、党の将来を担うと期待されるシャピロ・ペンシルベニア州知事、ブティジェッジ運輸長官らも登壇。バイデン大統領(81)の選挙戦撤退へ圧力をかけたとされるペロシ氏は、バイデン氏を「現代の大統領で最も成功した一人」と持ち上げて謝意を示した上で、「ハリス氏は私たちを新たな高みへと導く準備ができている」と期待を寄せた。  ハリス氏は、民主党大会最終日の22日に演説し、候補指名を受諾する。撤退したバイデン氏の政策を受け継ぎ、中間層の生活改善や中絶の権利、民主主義の擁護などを訴える。 

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