【ニューヨーク=佐藤璃子】26日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前週末比65ドル(0.2%)高の4万1240ドルで終えた。7月17日に付けた最高値(4万1198ドル、終値ベース)を約6週間ぶりに上回り、高値を更新した。米連邦準備理事会(FRB)による9月の利下げ観測が引き続き相場を支えた。
カンザスシティー連銀が主催した経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)でパウエルFRB議長が近く利下げに踏み切る姿勢を明確に示したことを受け、先週末に引き続き株式に買いが入った。
パウエル氏は「強い労働市場を支えるためにできることを何でもする」とも語った。市場では「これまでよりもハト派的だった」(UBSのソリタ・マルセリ氏)と受け止められ、投資家の利下げトレードが活発となった。
ダウ平均は景気減速への警戒感が強まったことなどを背景に月初には急落したが、足元では堅調な経済指標やインフレ鈍化のサインを受けて再び買いが広がっている。ダウ平均は8月5日の直近安値から2500ドルあまり上昇した。
ダウの構成銘柄ではスリーエムが前週末比1.5%、コカ・コーラが同1.5%、ウォルト・ディズニーが1.3%上昇した。
一方で多くの機関投資家が参照するS&P500種株価指数は上昇が一服し、前週末比0.3%安となった。人工知能(AI)銘柄を中心に売りが広がり、半導体大手のマイクロン・テクノロジーや米サーバー大手のスーパー・マイクロ・コンピューターなどが下げた。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数も0.9%安だった。
市場参加者の関心は、米半導体大手エヌビディアが28日に発表する5〜7月期の決算に集まっている。AI向けの半導体で独走状態を維持し、市場の期待を上回る好業績を示せるかが焦点になる。
経済指標の発表も目白押しだ。27日には8月の米消費者信頼感指数、29日には週間の新規失業保険申請件数、30日にはFRBが重視する7月の米個人消費支出(PCE)物価指数の発表を控える。
米調査会社CFRAのチーフ投資ストラテジスト、サム・ストーバル氏は「PCEは利下げへの確度を高める材料として特に注目度が高い」と指摘する。
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