「留学は夢の第一歩!」。こんなうたい文句で海外で働きながら語学を学べるワーキングホリデーを目指す人たちを集めた業者が、取材班の直撃にあきれた言い訳をしていました。
「留学のチカラ」代表者:
ビザは申請すれば簡単に取れるもの。それほど残高証明書は見ていないだろう。
歴史的な円安で注目を集める“ワーキングホリデー”。
一番人気の滞在先、オーストラリアで起きていたのは、ビザの不正申請トラブルでした。
「突然ビザをキャンセルされるっていう事案が発生しまして、問い合わせをしたところ、あなたの書類は捏造(ねつぞう)して提出していましたって」と話すのは、現在ワーキングホリデーを利用し、飲食店で働きながらシドニーに滞在しているAさん。
「留学のチカラ」という申請代行業者に依頼し、ワーキングホリデーのビザを取得していた人たちが突然、ビザを取り消されるという事態が相次いでいたのです。
2023年の冬にオーストラリア入りしたBさんは、2024年8月に日本に一時帰国したところ、ビザの取り消しを受け、オーストラリアに再入国できない状態に。
オーストラリアに再入国できなくなったBさん:
最初はもうパニックというか。(困っていることは?)一時帰国なので、荷物とかも全部オーストラリアにある状態。部屋も借りてるし。
ワーキングホリデーを巡っては、渡航したものの英語力不足で仕事見つからず、生活に困窮する日本人が続出。
現地の炊き出しに日本人が行列を作るなど驚きの事態も明らかになっています。
では今回、何が起きたのか。
問題となったのは、ビザの申請に必要な金融機関の残高証明書でした。
シドニーにワーホリ滞在中のAさん:
他人の口座の名義を私の名前を変えられて提出されていたんですけど、名前の部分だけを変えて同じものを使い回していたようです。
代行業者が過去の申請に使った残高証明書の名前だけを変えて使い回すなど、不正な申請を行っていたことが判明したのです。
シドニーにワーホリ滞在中のAさん:
知らないうちに犯罪に加担されているというか、移民局側からしたら私たちが虚偽の申請を行い、不正の書類でオーストラリアに入国した、要は犯罪者っていう認識になると思うんですよ。
被害者はSNSなどで情報を集め、集団訴訟なども検討しているといいます。
なぜビザの不正申請を行ったのか。
問題の代行業者「留学のチカラ」の本社を訪ねてみると、そこはマンションの一室でした。
取材を試みたものの、応答はなし。
そこで、SNSを通じて接触を試みると代表者から着信があり、直撃取材しました。
「留学のチカラ」代表者:
今となっては軽く見ていたんですが、去年の6月あたりから銀行の使い回しをしていた事実がありまして、虚偽に当たる申請ということは間違いありません。
残高証明書類の使い回しをあっさり認めた業者。
業務は全て1人で請け負っていたといい、さらに、オーストラリアが認める書類代行業者の資格もない無免許だったといいます。
「留学のチカラ」代表者:
ざっくりですけど150名くらいは確実に私の方で作成している。金銭的な負担は最低限お客さまへの対応はしていくつもり。もう本当に軽はずみな、私の勝手な。申し訳なく思っております。申し訳ございませんでした。
涙ぐみながら言い訳をする業者。
この問題についてシドニーの日本総領事館は被害相談は来ていないとしたうえで、「そういった事案があることは人づてには聞いている。事実関係を把握するとともに注意喚起を含めて検討している」としています。
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