ロシアの同盟国であるベラルーシの国営放送は5日、同国で拘束された元日本語教師の邦人男性に関する特別番組を放映した。放送では治安当局者が50代の邦人男性についてスパイ活動容疑で捜査していると述べた。ウクライナとの国境に近い地域で軍事施設を撮影したとしている。
国営ベルタ通信によると、放映された特別番組「東京から来たサムライの失敗」では、邦人男性がウクライナ国境に近い地域で道路や橋、鉄道駅などを含む9000枚以上の写真を6年間にわたって撮影したと指摘した。
治安当局者は邦人男性をスパイ活動容疑で捜査していると述べた。ベラルーシ国内で得た軍事インフラや軍隊の移動状況などの情報を収集し、日本の情報機関に提供したと主張した。
邦人男性がスパイ活動への後悔の念を述べたり、収集した情報がウクライナなどからの攻撃に使用される可能性を示唆したりする場面もある。番組は当局の管理下で撮影されたもので真偽に関しては不明な部分が多い。
拘束された邦人男性は「ナカニシ・マサトシ」と名のり、ベラルーシ南東部ゴメリ州の大学で日本語教師をしていた中西雅敏さんとみられている。
在ベラルーシ日本大使館によると、邦人男性は7月9日に拘束された。大使館員が面会しており、邦人保護の観点から最大限の支援をする方針だ。
ゴメリ州はウクライナやロシアと国境を接し、ウクライナの首都キーウ(キエフ)にも近い。ベラルーシは最近、ウクライナがベラルーシとの国境に近い地域にウクライナ軍を集めて挑発行為を続けていると強調していた。
一方、ウクライナ外務省は8月の声明でゴメリ州にベラルーシ軍部隊が集まっていると明らかにした。軍事演習を名目として兵士のほか戦車や大砲などの兵器が集結していると指摘し、両国の緊張関係は高まっていた。
ベラルーシでは在留外国人が拘束される事態が続く。2023年にはドイツ人男性が拘束され、24年6月にテロ罪などで死刑判決を受けた。だが8月の米欧とロシア・ベラルーシとの大規模な身柄交換で帰国した。
ベラルーシはウクライナ侵略を続けるロシアの同盟国で、軍事や産業・金融などでロシアを支援する。両国は制裁を強める欧米諸国に対抗しようと連携を強化している。
ロシアは23年にベラルーシに戦術核を配備した。ロシアが24年春に実施した戦術核兵器の使用を想定した演習では、第2段階でベラルーシ軍が参加していた。
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