【ソウル=木下大資】終戦直後の1945年8月24日、帰郷する朝鮮人労働者らを乗せた旧日本海軍の輸送船が京都府舞鶴湾で爆沈した「浮島丸事件」を巡り、韓国外務省は5日、日本政府から乗船者名簿の提供を受けたと発表した。犠牲者の個人情報が表示された状態で提供されたもようで、同省は「被害者の救済や事件の真相把握に活用する」としている。  日本政府は浮島丸事件に関連し、「名簿」と名の付く資料75件を保有していると明らかにしている。韓国外務省によると今回提供されたのは19件で、残りも日本側の内部調査が完了次第受け取る予定という。  日本政府は長年、乗船者名簿の存在を認めていなかったが、最近になってジャーナリストの情報公開請求に対し、複数の名簿を開示した。東京新聞も請求を通じて名簿を入手したが、名前や本籍地などは非表示だった。  浮島丸事件の発生後、日本政府は朝鮮人乗船者3735人のうち524人が死亡したと発表。原因については米軍が敷設した機雷に触れたためとした。一方、韓国では生存者の証言などから乗船者は6000~8000人で、犠牲者は日本の説明より多いとの主張が提起されてきた。日本への不信を背景に「意図的な爆破」説も根強い。  韓国メディアでは「日本が長い間、資料を事実上隠蔽(いんぺい)してきた」と厳しい見方がある一方、尹錫悦(ユンソンニョル)政権で日韓関係の改善が進み、当局間の緊密な協議が名簿の提供につながったとの指摘もある。


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