ガザ地区南部「人道エリア」に空爆 イスラエルへの非難相次ぐ

イスラエル軍は10日、ガザ地区南部のハンユニスで、イスラエルがみずから「人道エリア」として住民の退避先に指定した地域に空爆を行ったと発表しました。

去年10月の奇襲攻撃に直接関わったイスラム組織ハマスの幹部らを殺害したと主張し、事前に住民の被害を軽減する多数の措置をとったなどとしています。

ガザ地区の保健当局はこの空爆で少なくとも19人が死亡し60人以上がけがをしたと発表し「イスラエル軍による恐ろしい虐殺だ」と強く非難しています。

NHKガザ事務所がハンユニスにある病院で撮影した映像では、けがをした人たちが次々と病院に運び込まれる様子や死亡した子どもを前に悲しみに暮れる人々の姿が写っています。

国連で中東和平を担当するウェネスランド特使はイスラエル軍の攻撃を非難するとともに「民間人の殺害をやめ、この恐ろしい戦争は終わりにしなければいけない」とする声明を出しました。

また、イギリスのラミー外相もアメリカのブリンケン国務長官との会見で「ハンユニスでの衝撃的な住民の死により、停戦の必要性は格段に高まっている」と述べ、一刻も早い停戦の実現を訴えました。

国際社会からの停戦を求める声が強まる一方で、イスラエルとハマスの停戦と人質解放に向けた協議は難航していて、進展の兆しは見えないままです。

国連 グテーレス事務総長 今回の空爆を非難

国連のグテーレス事務総長は、報道官を通じて、「イスラエル軍が住民の避難先に指定した地域を空爆したことを強く非難する。人口密集地での重火器の使用は容認できない」とコメントし、今回の空爆を非難するとともに、一刻も早い停戦を改めて呼びかけました。

パレスチナ 国連総会で席が前方に 各国と同じ扱いに格上げ

国連総会の新たな会期が10日始まり、「オブザーバー国家」として、これまで一番後ろに置かれていたパレスチナの席が、前方に移され、各国と同じ扱いに格上げされました。

10日、新たな会期が始まった国連総会では、これまで投票権のない「オブザーバー国家」として一番後ろの席に座っていたパレスチナについて席の変更が告知されました。

パレスチナのマンスール国連大使がスリランカの隣でパレスチナ国家を意味する「ステート・オブ・パレスチナ」と表示された前方の席に着くと、各国の代表らが相次いで握手を求めていました。

今回の措置は、ことし5月の総会でパレスチナの国連加盟を支持する決議が、日本を含む賛成多数で採択されたのを受けたものです。

ただ、正式な国連加盟には安全保障理事会の勧告決議が必要で、ことし4月、アメリカが拒否権を行使したことから、パレスチナの「オブザーバー」の地位は変わらないままとなっています。

今回の措置についてイスラエルの国連代表は議場で「10月7日に起きた殺りくや拉致を非難することを控えているパレスチナは格上げに値しない」と述べて、抗議しました。

パレスチナのマンスール大使はNHKの取材に対し「これは大きな出来事だ。国連の加盟国になるという当然かつ合法的な権利にわれわれを近づけるものだ」と話し、大きな成果だとの受け止めを示していました。

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