【ワシントン=芦塚智子】米国務省は13日、ロシアの国営テレビRTがロシア政府と連携して世界各国で情報工作を実施しているとして、関連する3団体と2個人を制裁対象に加えたと発表した。クラウドファンディングを使ってロシアによるウクライナ侵略を助ける武器調達の資金集めにも関与していると指摘した。
米政府は4日、ロシア政府の指示を受けて11月の米大統領選に影響を与えるため偽情報の流布に関わったとして、RTの職員を起訴したばかり。ブリンケン国務長官は13日の記者会見で「我々が今日と先週に暴いた活動は、民主主義を損なおうとするロシアの企ての全体像にはほど遠い」と警告し、ロシアによるRTを使った情報工作活動の阻止への協力を各国に求めた。
国務省は、RTがドイツやアフリカ諸国で秘密裏にニュースサイトを運営してウクライナ侵攻などに関するロシアのプロパガンダを流しているほか、フランスやアルゼンチン、モルドバで選挙や政治に影響を与えるための情報工作活動を実施していると批判した。
さらにRT幹部がクラウドファンディングをソーシャルメディアを通して運営し、スナイパーライフル銃や暗視装置、無線機器などの購入のための資金を調達しているとした。偵察ドローンなど一部は中国を拠点とする企業から調達されていたという。
RTはサイバー工作能力も備えており、世界各国で入手した情報をロシアの情報機関や他のメディアなどに流しているとして「RTは単なるメディアではなくなっている」と指摘した。
ブリンケン氏は、英国やカナダと協力し、RTや他のロシア政府機関による情報工作活動に対抗する外交キャンペーンを立ち上げると表明した。各国に駐在する外交官にRTに関する情報を各国政府と共有するよう指示したと説明した。
新たに制裁対象に加えたのは、RTの親会社TVノーボスチや関連メディア組織の幹部などで、米国内の資産を凍結し米国民との取引を禁じる。
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