死刑制度は違憲の疑いがあるとして、台湾の全ての確定死刑囚37人が憲法解釈を求めた裁判の判決が20日、台湾の憲法裁判所にあたる憲法法廷で言い渡される。台湾では死刑廃止に反対する世論が強いが、判決には拘束力があり、違憲となれば台湾当局は死刑制度を見直さなければならない。日本の死刑存廃の議論にも影響を与える可能性がある。
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裁判を申請した死刑囚側は、死刑制度は台湾の憲法が保障している生命権(生存権)を侵害しているなどとして違憲の疑いがあると主張。37人の死刑判決の失効も求めている。
一方、死刑囚側の主張に反対意見を提出した台湾の法務部(法務省に相当)は、生存権は公共の利益に反する場合は剝奪(はくだつ)されうるものであるとして、死刑は合憲だと主張している。
憲法法廷は、台湾総統が指名し、立法院(国会に相当)の同意を経て任命された15人の大法官で構成。過半数の同意で判決を決める。判決には拘束力があり、不服を申し立てることもできない。
台湾では過去、死刑に関して少なくとも3回にわたって違憲性が問われたが、いずれも合憲判決がでている。ただ、今回の大法官は死刑執行に消極的だったとされる民進党の蔡英文(ツァイインウェン)前総統が全て任命しており、25年ぶりの憲法解釈が注目されている。
台湾世論は死刑廃止反対が8割超にのぼる。違憲判決がでれば、批判の矛先が民進党政権に向かうとみられる。最大野党の国民党は19日、「民意に反する判決を下せば、大法官への大きな疑問が生じることになる」とする声明を発表した。
一方、申請人となった死刑囚の一人は代理人の弁護士を通じて朝日新聞の取材に応じ、「今回の憲法解釈は命を保つ最後の一縷(いちる)の望みです。生きていたいので、これに懸けるしかありません」と心情を述べた。(台北=高田正幸)
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