中国・深圳市の深圳日本人学校で20日、校門前に花を手向ける人(河北彬光撮影)
◆日本人を標的にした投稿が絶えず
6月に江蘇省蘇州でスクールバスを待っていた日本人母子ら3人が刺された事件後にも、短文投稿サイトの微博(ウェイボ)や中国IT大手の騰訊控股(テンセント)などが相次いで問題のあるアカウントや投稿を削除したと公表。中国で投稿の削除は日常的にあるが、運営元が規制強化を公表するのは異例だ。中国政府の意向を踏まえ、排外的な言動に厳しい姿勢を示す狙いがあるとみられる。 ただ規制を公表したSNS以外にも、いまだ日本人を標的にした言論が絶えない。事件を受け、北京を訪れた柘植芳文外務副大臣は中国外務省の孫衛東(そんえいとう)外務次官と23日会談し、類似の事件の再発防止のため「根拠のない、悪質で反日的なSNSの投稿」の取り締まり徹底を求めたことを明らかにした。◆「中国に『日本を恨む教育』はない」
日本側の要求に対し、中国外務省の林剣(りんけん)副報道局長は同日の記者会見で「中国にはいわゆる『日本を恨む教育』はない」と主張。ただ、これまで中国側は容疑者の動機面などの詳細を公表していない上、「類似の事件はどの国でも起きうる」(林剣氏)とも述べており、不十分な情報公開が誤った情報の拡散を招いているとの批判も出ている。 ◇ 深圳日本人学校の男児刺殺事件を受け、北京を訪問した柘植芳文外務副大臣は23日、中国内の日本人学校の警備強化に外務省の本年度予算から4300万円を充てることを明らかにした。◆在中国の日本人学校は不審者対応を強化へ
北京の在中国日本大使館で開かれた中国日本商会などとの意見交換会で述べた。中国に12校ある日本人学校で、学校や周辺の警備のほかスクールバス乗降時の不審者対応も強化する。外務省は来年度の概算要求で中国のスクールバスの警備強化に3億5000万円を計上したが、保護者から来年度を待たず早急な対応を求める声が出ていた。中国・深圳市の深圳日本人学校で20日、中国人が校門前に花束を手向けた(河北彬光撮影)
外務省は来年度予算の概算要求で中国のスクールバスの警備強化に3億5000万円を計上したが、保護者から来年度を待たず早急な対応を求める声が出ていた。柘植氏は「子どもの安全確保を最優先にできることは全て行っていく」と述べた。◆容疑者の動機面の説明、求めても回答なし
柘植氏は中国外務省の孫衛東(そんえいとう)外務次官との会談で、動機面の説明を重ねて求めたことも記者団に明らかにした。孫氏は答えず、従来通り事件は「偶発的」だとした上で「今回の件が日中関係全体に影響を与えてはならない」とも述べた。柘植氏は「まず動機を示さないと、どのような対策が打てるか明確に指示を出せない」と述べ、引き続き説明を求めるとした。 同日には、男児の葬儀が深圳市内の葬儀場で営まれた。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。