FRBのバー副議長は昨春の米地銀破綻を踏まえた各種施策を検討している=ロイター

【ニューヨーク=斉藤雄太】米連邦準備理事会(FRB)のバー金融監督担当副議長は26日の講演で、緊急時の銀行向け融資制度の利便性を高める方策を検討していると表明した。預金保険の対象外となる大口預金の流出に備えて、預金規模に応じた担保などの事前提供を大手銀行に義務付け、FRBからの資金供給を受けやすくする。

昨春に起きたシリコンバレーバンク(SVB)などの米地銀の連続破綻を踏まえた措置になる。SVBは25万ドル(約3600万円)が上限の預金保険制度の枠組みを超える大口預金者を多く抱えていた。経営危機が表面化すると預金の解約請求が殺到し、資金繰りに行き詰まって破綻した。

FRBが提供している「ディスカウント・ウインドー(連銀窓口貸し出し)」と呼ぶ緊急時の流動性供給策はあったが、SVBが利用を申請した際は担保の手続きに時間がかかりすぐに資金を出すことができなかった。

改善案では、連銀貸し出しを利用する際に銀行が差し出す米国債などの担保について、大口預金の割合に応じて事前の提供を義務付ける方針だ。銀行は緊急時にFRBの資金供給を迅速に受けられるようになる。大口預金者に「預金をいつでも引き出せる」という安心感を与え、結果的に取り付け騒ぎを防ぐ効果もねらう。

銀行側の負担を考慮してコミュニティーバンクと呼ぶ小規模な地域金融機関は対象外とする。SVB破綻の経緯を踏まえ、銀行に危機時の預金流出の速度や規模をより厳しく見積もるよう求めることなども検討する。

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