【NQNニューヨーク=矢内純一】1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前日比173ドル18セント(0.40%)安の4万2156ドル97セントで終えた。イスラエルとイランを巡る中東情勢の緊張が高まっている。投資家がリスク回避の姿勢を強め、ハイテク株や景気敏感株を中心に売りが出た。ダウ平均の下げ幅は380ドルを超える場面があった。

朝方から主力株に売りが先行した。イランがイスラエル攻撃を始める準備をしていると伝わった。午後にはイランがイスラエルに向けてミサイルを発射した。大半を迎撃したというが、イスラエルは反撃の構えを示している。

軍事衝突の拡大や長期化への警戒から、株売りが優勢となった。市場では「現時点で株価や原油相場にどの程度の影響を与えるのか予想しにくい」(ウェドブッシュ証券のスティーブ・マソッカ氏)との受け止めがあった。

米原油先物相場は一時、前日比5%あまり上昇した。「恐怖指数」とも呼ばれる米株の変動性指数(VIX)は急上昇し、不安心理が高まった状態を示すとされる20を上回る場面があった。ダウ平均は前日まで連日で過去最高値を更新した後で、主力株に持ち高調整や利益確定目的の売りが出やすかった面もある。

売り一巡後は、ダウ平均は下げ渋った。景気変動の影響を受けにくいディフェンシブ株の一部に買いが入った。地政学リスクへの警戒から、軍需・防衛関連や資源関連の銘柄にも買いが入り、ダウ平均を支えた。

ダウ平均の構成銘柄では、アップルが下落。一部のアナリストが最新スマートフォンの需要が弱い可能性に言及し、材料視された。アナリストが投資判断を引き下げたウォルト・ディズニーも安かった。インテルとマイクロソフトも売られた。半面、ボーイングとシェブロンが上昇。メルクやトラベラーズといったディフェンシブ株の一角にも買いが入った。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反落した。前日比278.811ポイント(1.53%)安の1万7910.359で終えた。エヌビディアやマイクロン・テクノロジーといった半導体株の下落が目立った。半導体株で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は2.8%安で終えた。

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