3日、米ホワイトハウスで記者団に話すバイデン大統領(首都ワシントン)=ロイター

【ヒューストン=花房良祐】バイデン米大統領は3日、米国がイスラエルのイラン石油施設への攻撃を支援するかを「議論している」と話した。原油の供給懸念が高まり米国市場で同日、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は前日比5.1%高い1バレル73.71ドルで取引を終えた。8月下旬以来の高値だ。

バイデン米大統領は3日、米国がイスラエルのイラン石油施設への攻撃を支援するか問われて「議論している」と記者団に話した。「でもそれは少し・・・」と述べたところで回答をやめた。イラン石油施設への攻撃計画が具体化していると受け止められた。

イランは日量約320万バレルの原油を生産し、うち半分程度を輸出する。イスラエルがイランの原油積み出し港を破壊すればタンカーで出荷できなくなる。製油所を空爆で破壊する案も浮上している。

イスラエルは親イランのレバノン・イスラム教シーア派組織ヒズボラを攻撃。反発したイランはイスラエルに弾道ミサイルを大量発射し、イスラエルが報復を宣言した。報復の連鎖で地政学リスクが高まっている。

イランがホルムズ海峡を封鎖する事態も意識されている。ペルシャ湾産油国の石油を輸送する重要航路を封鎖すれば世界経済が大混乱に陥る。

11月に米大統領選挙があり、原油相場の上昇はガソリン価格の上昇に直結し、ハリス副大統領に逆風となる。米国は難しいかじ取りを迫られており、バイデン氏はイスラエルに報復の権利があるとする一方、「相応の報復」であるべきだとの方針だ。

一方、足元の原油需給には余剰感がある。景気が弱含む中国の実需が振るわないためだ。加えて、減産してきた石油輸出国機構(OPEC)は大きな増産余力を有しているため、相場の上値は重いとの観測もある。

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