【北京=石井宏樹】世界最大規模の自動車展示会「北京モーターショー」が25日、開幕した。新型コロナによる中止で4年ぶりの開催。中国メーカーが電気自動車(EV)で攻勢を強める中、日系メーカーは中国の大手IT企業との提携で知能化を加速させるほか、新エネルギー車のコンセプト車を打ち出して挽回を図る。

25日、北京市の中国国際博覧センターでEV「bZ」シリーズのコンセプト車を発表するトヨタ自動車の中嶋裕樹副社長=いずれも石井宏樹撮影

◆トヨタは「騰訊控股」、日産は「百度」と

 トヨタ自動車は、通信アプリの微信(ウィーチャット)を手がける「騰訊控股」(テンセント)との提携を発表。同社の人工知能(AI)やクラウドコンピューティングの技術提供を受けるほか、中国の消費者が重視する車内の居心地向上に向けてエンターテインメント機能など新たな価値の創出を模索する。  日産自動車は検索大手「百度」(バイドゥ)と覚書をかわし、百度の生成AIを活用して車の知能化の発展に向けた共同研究を行う。ホンダはモーターショーに先だって16日に発表した新しいEVコンセプト車「燁(イエ)」シリーズで、中国の音声認識大手「科大訊飛」(アイフライテック)などの技術を取り入れた。

◆EV、PHVのコンセプト車続々

 日系の各メーカーは会場でEVやプラグインハイブリッド車(PHV)のコンセプト車を相次いで発表した。  トヨタはEVシリーズ「bZ」の新型量産モデル2車種をお披露目。若者やファミリー層に向けて、最新の自動運転支援システムとスマートコックピットを搭載し、1年以内の発売を目指す。中嶋裕樹副社長は「EVとハイブリッド車をバランス良く展開し、今後はPHVも強化していく」と述べ、中国でも多様な電動車の選択肢を提供する「マルチパスウェイ」戦略を貫く姿勢を強調した。  日産は今後、5車種の新エネ車を2026年度までに中国に投入するとし、デジタル版を含むEVとPHVのコンセプト車を各2車種発表した。マツダも今年中に中国で販売するセダン「マツダEZ―6」を紹介。「EZ―6」はEVとPHVを取りそろえ、中国市場での巻き返しを図る。

マツダが今年中に中国で発売するEV「マツダEZ-6」

◆ホンダは期間限定で値下げ

 一方、35年までに中国でEVの販売比率100%を掲げるホンダは「燁」シリーズに加え、25日にEV「e:N」シリーズの2車種の新型車も発表。発売に合わせて期間限定で3万元(約60万円)の値下げを行う方針を明らかにした。EVのシェア拡大に向け、中国メーカーの値下げ競争に真っ向から向き合う構えだ。  会期は5月4日まで。中国EV最大手の比亜迪(BYD)などを中心に、世界初公開の車両が117種類、新エネ車が278種類展示される。


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