【北京=河北彬光】台湾の国防部(国防省)は8日、中国が10日にロケットを発射すると予告したと発表した。10日は、台湾の頼清徳(らいせいとく)総統が建国記念日に相当する「双十節」の演説をする見通しで、中国側が頼政権への圧力として軍事演習に踏み切るとの観測が出ている。

◆「防空識別圏を通過する見込み」

 台湾国防部によると、中国は四川省の西昌衛星発射センターから西太平洋に向けて発射する。台湾の防空識別圏を通過する見込みだとしている。卓栄泰(たくえいたい)行政院長(首相)は8日、「国防上のさまざまな安全監視を強化する」と述べた。

頼清徳氏(資料写真)

 ロイター通信は7日、台湾高官の話として、中国側が台湾に圧力を掛けるため10日の頼氏の演説に合わせて軍事演習を始める可能性が高いと報じた。既に演習が計画され、頼氏の演説内容に関係なく実施する可能性があるとしている。

◆「台湾独立派」として警戒

 台湾は双十節について「中華民国建国」を記念する日と位置付けている。頼氏は5日の記念行事で「中華人民共和国(中国)は決して中華民国(台湾)の人々の祖国になり得ない」と述べた。台湾メディアは、中国側が「一つの中国」原則に反する発言として台湾への圧力を強める可能性があると報じている。  中国はかねて頼氏を「台湾独立派」とみなして批判を強めてきた。5月の総統就任直後には、中国軍が頼氏の就任演説に反発し、台湾の周辺海域で2日間にわたり軍事演習を実施している。 

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