【ニューヨーク=斉藤雄太】米銀大手バンク・オブ・アメリカが15日発表した2024年7〜9月期決算は純利益が前年同期比12%減の68億9600万ドル(約1兆円)だった。預金金利の上昇で利ざやが縮小し、融資業務などで稼ぐ純金利収入が細った。投資銀行やトレーディング業務は堅調だったが、補いきれなかった。
事業会社の売上高にあたる純営業収益は1%増の253億4500万ドルだった。1株当たり利益(EPS)は0.81ドルで、純営業収益とEPSはともにQUICK・ファクトセット集計の市場予想を上回った。15日の米株式市場でバンカメの株価は一時、前日比で3.5%上昇した。
主力の純金利収入は3%減の139億ドルだった。9月末の貸出残高は1年前より3%ほど増えたが、この間に貸出金利の伸びよりも預金金利の伸びが大きくなり、7〜9月期の平均利ざやは1.92%と前年同期から0.2ポイントほど縮んだ。
ただ四半期ベースの純金利収入は4〜6月期より増えた。低金利時代に投資した米国債などから、より利回りの高い資産に運用先のシフトが進んだのが一因だ。
ブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)は決算説明会で、米連邦準備理事会(FRB)の一段の利下げを考慮しても「10〜12月期の純金利収入は再び増えると見込んでいる」と語った。
7〜9月期の非金利収入は前年同期比5%増の113億ドルだった。FRBの利下げ開始で投資銀や市場部門の稼ぐ力は上向いた。投資銀の手数料収入は債券の引受業務がけん引役になり、18%増の14億ドルになった。トレーディング収益も株式と金利・為替・商品(コモディティー)を指すFICCがともに好調で12%増えた。
不良債権処理にかかる与信費用は15億ドルと25%増え、利益を圧迫した。商工業向けで大口の貸倒損失が発生したのが響いた。
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